昭和の少女マンガはファッションリーダーだった? 人気作家が描いた「モード」な服装
現代の少女漫画は、読者のファッションリーダーになり得る?

『少女マンガ・ファッションブック』には、編集の倉持佳代子さんと、ファッションのスペシャリスト筒井直子さんとの対談「ファッションと少女マンガ、その関係?昭和少女を取り巻くファッション事情とは?」も掲載され、時代とともにファッションと少女マンガがどのように移り変わっていったかも知ることができます。
そして、ファッションは平成、令和と続いてきた現在の少女マンガのなかでも重要な役割を担っています。
現代の少女マンガでは、飛び抜けた才能があるわけでも、クラスで一番可愛いわけでもない、等身大の自分に重ねられる主人公像が描かれることが多く、「モード」な服装は描かれません。代わりに、自分でも手が届くかもしれない、「少しおしゃれをした日の自分」がそこには描かれています。
ただ、年上のお姉さんたちが恋愛している様子を将来の自分と重ねて見る「りぼん」「ちゃお」「なかよし」といった、おそらく子供が人生で初めて手に取る少女マンガ誌では、ファッショナブルな少女たちの私服が見受けられます。
少女マンガからファッション誌へ、という年代とともに起こる推移と、物語を最も伝えるのに適したものが、現代の少女マンガにおけるファッションの立ち位置なのかもしれません。
「ファッション画集」としても、「イラスト集」としても、「読み物」としても楽しめる『少女マンガ・ファッションブック』は、懐かしい付録として切って遊べる「着せ替え人形カード」までついてきます。この美しい書物にハサミを入れるのはなかなか勇気がいりますね……。
作家の先生たちが持つ才能と技量にただただ感銘を受ける1冊、とってもオススメです。
(別冊なかむらりょうこ)