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「原作者激怒」は嘘だったアニメ 原作とかけ離れてても怒らなかった理由

アニメ化、実写化されたマンガ、小説などの作品に対して、原作者が「激怒」するトラブルが頻発していますが、実はそうではないケースもあります。なぜ原作者は怒らなかったのでしょうか?

押井守監督に激怒? 高橋留美子先生に真相を尋ねる人たち

『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』DVD(東宝)
『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』DVD(東宝)

 近年、マンガや小説が映像化されると、原作者と制作陣の関係性が注目されがちです。作品の解釈やイメージの違いなどの「改変」のせいで、原作者が「激怒」してしまうケースが多いからです。

 アニメの歴史に残るような有名な作品でも、「原作者が激怒した」と伝えられているものがあります。しかし、一般の視聴者が、勝手なイメージで原作者が激怒していると思いこんでしまったり、誤ったうわさや伝聞を信じ込んでしまったりしたケースも少なくありません。

 なかでも有名なのが、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(1984年)です。高橋留美子先生の原作はスラップスティックなラブコメディーでしたが、「すべての喧騒は夢の中の出来事」として描いた押井守監督による本作は、実写映画から多大な影響を受けた幻想的な映像演出やアニメの登場人物が虚構から脱出しようとするメタフィクショナルな仕掛けなどが合わさり、後世に語り継がれる傑作となりました。

 押井監督の独創的な作劇と演出のインパクトが強かったせいか、「映画を観て高橋留美子先生が激怒した」と伝えられ、多くの人たちが信じていました。果たして、本当のはどうだったのでしょうか。

 公開直後に刊行された平井和正先生との対談本『語り尽せ熱愛時代』(1984年)で、高橋先生は「あれはあれで押井守さんの『うる星やつら』、私のじゃないということね」「押井さんというかたの才能は十分に認めているんだけれども、これは私のじゃないという気持ちが付きまとうんです」と、複雑な胸中を吐露しています。

 しかし、その1年後に刊行された『少年サンデーグラフィック うる星やつら14』(1985年)では、読者からの質問に「ビューティフル・ドリーマーは監督(押井守さん)の傑作で、お客さんとして大いに楽しめました」と答えていました。

 時を隔てて、2013年の「コミックナタリー」のインタビューでは、高橋先生は「あれは押井守監督の作品と割り切って、楽しく観ましたよ」と回答しています。また、「週刊少年サンデー」2020年44号での畑健二郎先生、熊之股鍵次先生との鼎談記事では「不仲説、ずっとありますよね(笑)」と一笑に付し、「否定してるんですけどねぇ。でもね、世間的にはやっぱりその方が面白いみたいでいっこうに訂正されませんね」と、世間の反応を嘆いていました。

 さらに、2024年5月21日配信のニッポン放送Podcast『ランジャタイの伝説のひとりぼっち集団』によると、お笑いコンビ「ランジャタイ」の伊藤幸司さんが高橋先生との食事会で「怒っているって本当ですか?」と尋ねて、「全然、怒ってない」という答えを引き出しています。作品については、「あれは押井守さんの傑作です。私のじゃないけど」と答えたそうです。

 当初は複雑な気持ちを抱えてはいたものの、高橋先生が『ビューティフル・ドリーマー』を押井監督の作品として楽しんだのは間違いないようです。高橋先生が「激怒」していなかったことは、本人の言葉から明らかでしょう。

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