「ちくしょう、ウソだったのか」みんな騙されたゲームの「デマ」 ことし議論になった都市伝説も
今の時代、インターネットや動画配信を見ればゲームに関する情報はだいたい手に入ります。しかしそうした情報源がまだなかったころ、ゲームに関する情報は雑誌や攻略本、口コミ、一部ネットの掲示板に頼るほかはありませんでした。結果、さまざまなデマが生まれ、多くの人が徒労に終わるとも知らず何度も「裏技」に挑戦して悔しい思いをさせられました。
ヒロインとの「野球拳」で悔しい思いをする人が続出?

1980年代の家庭用ゲーム機で、最も有名なデマと言えるのが『水晶の龍』の野球拳でしょう。『水晶の龍』は1986年12月15日にファミリーコンピュータのディスクシステム用ソフトで、スクウェア(現:スクウェア・エニックス)が「DOG」ブランドで発売したコマンド選択型アドベンチャーゲームです。
ヒロインのシンシアが「助けて~」と言いながら遠ざかっていくTVCMも話題となりましたが、それ以上に当時の少年たちをおもちゃ屋に走らせたのが、某ゲーム雑誌に掲載された「シンシアと野球拳ができる」というウソ情報でした。
この雑誌は、毎号掲載している数多くの裏技情報のなかに、ひとつだけウソを混ぜる遊びをしていたのですが、これに本気で騙された人も多かったようです。もし今ならSNSで炎上すること間違いなしでしょう。
なお、同作のキャラクターデザインを務めた漫画家の佐藤元氏も騙されたそうで、再現しようとしてもうまくいかなかったそうです(当時は家庭用ゲーム機の性能が今よりはるかに低かったため、佐藤氏はキャラクターの線を減らすなどの工夫をしていたそうで、当時の苦労がしのばれます)。
『ファイナルファンタジーVII』エアリスが生き返る?
初代PlayStationの全盛時、多くの人が挑戦し、涙をのんで諦めたのが『ファイナルファンタジーVII』(以下、FF7)のヒロイン、エアリスの蘇生でしょう。『FF7』は販売前から雑誌を中心に極めて力の入った特集が組まれており、エアリスはティファと並んで二大ヒロインとして大々的に取り扱われていました。
また、これは当時を知る方ならご存じかと思いますが、発売前はセフィロスも雑誌で「実は味方なのではないか?」と思わせるような紹介が行われたことがあり、そのセフィロスの手にかかってエアリスが死ぬ展開は、多くのプレイヤーに絶望と衝撃を与えました。
「メインヒロインが死ぬはずはない」「きっと蘇生できるはずだ」と考えたプレイヤーたちは必死に調査を開始。するとやがて、「スラムの教会に行くとエアリスがいる」という情報がもたらされましたが、ほんの一瞬の幻影でした。
2024年にPlayStation5版『ファイナルファンタジーVII リバース』が発売された際にも「エアリスは生存するのか?」という話題があがっており、多くの人にトラウマを残した一件のようです。
『ドラクエ5』当時で「3ターン撃破」はさすがに無茶

1992年にスーパーファミコンで発売された『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』では、ゲームクリア後に入れる隠しダンジョンの最深部にいたボス、エスタークは「??ターン以内に倒すと仲間になる」と、噂が立ったキャラクターです。
エスタークは尋常ではない強さを誇り、倒すと「なんということだ…この私がたったXXターンでやられてしまうとは…」とメッセージが流れます。おそらくはターンのカウントが行われていたことが原因と思われますが、やがて口コミで「10ターン以内に倒すと仲間になる」「5ターン以内に倒すと仲間になる」とうわさが伝わり始めました。
果てには「3ターン以内に倒すと」などという、とんでもない無茶な話も飛び出していますが、このあたりは地域差があるようです。今でもチャレンジコンテンツとして「エスターク撃破」の動画は動画サイトなどで多く見ることができますが、果たして当時の最短記録はどれくらいだったのでしょうか?
(早川清一朗)