ウルトラマンの科特隊は「歴代最強」? 巨大怪獣・凶悪宇宙人をどれだけ倒したのか
『ウルトラマン』OP曲の最初は「♪胸につけてるマークは流星 自慢のジェットで敵を撃つ」、この歌詞は『科学特捜隊』のことを指しています。ウルトラマンは「科特隊」なしでは、成立しない番組でした。
毎週、命がけの戦い

『ウルトラマン』というTVドラマにおいて、「科学特捜隊」(以下、科特隊)は最高のアイデアとされています。前作『ウルトラQ』で、民間人の主人公が都合良く怪事件に遭遇する展開に疑問符が付いたため、今度は逆に「怪物のもとへ出向く部隊」を設けることで、その違和感を払拭したのです。また、ストーリーの進行を務める役目も担うなど、利便性が高い存在になりました。
「科特隊」を皮切りに、『ウルトラセブン』に「ウルトラ警備隊」、『帰ってきたウルトラマン』に「MAT」と、各シリーズに特捜チームが設定されたなかで、ファンのあいだで「最強」の呼び声が高いのが、初代にあたる前述の「科特隊」です。科特隊はシリーズ史上、最も多くの怪獣を倒しているそうですが、宇宙人など他の敵を含めて、いったい何体倒したのか調べてみました。
科特隊が倒した敵をざっと並べてみると
1・第7話「アントラー」:「ムラマツキャップ」が「青い石」を投げつけると頭部に命中し、アントラーは爆死します。
2・第8話「マグラー」:「ハヤタ隊員」とムラマツキャップが「ナパーム手榴弾」を投げて倒しました。
3・第8話「スフラン」:ツタの長い吸血植物。「アラシ隊員」が携行火器「スパイダーショット」の火炎放射で炎上しました。
4・第12話「ミイラ人間」:こちらもアラシ隊員がスパイダーショットで倒しました。
5.第16話「バルタン星人」:空から襲う小型バルタン星人群を、「ジェットビートル」に乗る「イデ隊員」が、新兵器「マルス133」で倒します(数体倒していますが1カウントとします)。
6・第21話「ケムラー」:アラシ&イデ隊員が「マッドバズーカ」を撃って致命傷を負わせ、山の火口へ落ちます。
7・第25話「ギガス」:ジェットビートルからアラシ隊員が「ナパーム弾」、イデ隊員が「強力乾燥ミサイル」を撃って爆破しました。
8・第29話「ゴルドン」:2体現れ、片方はウルトラマンが倒し、もう片方はアラシ隊員がマッドバズーカで放ったコロナ弾と、ハヤタ隊員の「スーパーガン」で倒しました。
9・第31話「エアシップコンビナート」:人型生命体の吸血植物「ケロニア」が作り出した飛行メカの大群です。ジェットビートルとウルトラマンのタッグ攻撃で全滅させます(大群ですが1カウントとします)。
10・第37話「再生ドラコ」:「ジェロニモン」の力で復活した怪獣。イデ隊員が新兵器「スパーク8」で撃破します。
11・第37話「再生テレスドン」:同じくジェロニモンの力で復活。ムラマツキャップ、アラシ隊員、「フジ隊員」が持つスーパーガン3丁を合わせたトリプルショットで倒しました。
12・第37話「ジェロニモン」:ウルトラマンが抱え上げたところを、イデ隊員がスパーク8を撃って倒します。
13・第38話「サイゴ」:惑星「Q星」で対戦。「スペースタンクSL-77」という車体からハヤタ隊員が「SNKミサイル」を撃ち込み、バラバラに砕け散ります。
14・第39話「ゼットン星人」:「宇宙恐竜ゼットン」を操る謎の宇宙人です。まず、円盤群で地球に総攻撃を仕掛けてきますが、ジェットビートルで壊滅させられます。地上に降りた生き残りの1体を、ハヤタ隊員がマルス133で倒しました。
15・第39話「ゼットン」:ウルトラマンが敗れた後、「岩本博士」が開発したペンシルロケット型の試作弾「反重力爆弾」を撃ち込んで粉砕しました。撃ったのはアラシ隊員です。
以上「15体」、『ウルトラマン』全39話に登場した、怪獣、怪物、宇宙人と判断した敵全体の合計は55体としました。そのうち科特隊が倒した巨大怪獣は「10体」、その他「5体」です。
ただ、『科特隊』の攻撃でダメージを受けてウルトラマンにとどめを刺された怪獣は、「ドドンゴ」「ペスター」「ガマクジラ」「ゴモラ」「ザラガス」など多数いますから、科特隊は15体以上のパフォーマンスを残したといえるでしょう(※以上、筆者の個人調査です)。
ただ、この優秀な数字には、裏事情による影響もあったようで、実は番組ルールとして「ウルトラマンと戦う怪獣は1話につき1体だけ」と決められていたそうです(理由までは分かりませんでした)。怪獣が複数登場するエピソードでは、怪獣同士が戦って倒すか、科特隊が倒すか、そんな展開の融通もあったと思われます。
科特隊は、ハードなカリキュラムを誇る養成所を首席で卒業したハヤタ隊員ほか、優秀な人材がそろったエリート集団です。毎週、命をかけて戦っているのですが、視聴者からは「ウルトラマンがいるから必要ない」「お膳立て役」などとからかわれました。番組設定上やむをえない役回りですし、主役の登場前に毎回怪獣を倒すわけにもいかないのがつらいところです。
(玉城夏)