「デザイン担当不明」なウルトラのラスボス宇宙人 40年後「再登場」ビジュアルに衝撃
ぽっちゃりとしたゼットンとともに登場した、『帰ってきたウルトラマン』のラスボス、バット星人のデザインを決めたのは誰だったのでしょうか?
同じ種族なわけがない? 昭和・平成の「バット星人」の差

1971年から1972年にかけて放送された『帰ってきたウルトラマン』の最終話に登場したラスボスといえば、初代「ウルトラマン」を倒した「宇宙恐竜ゼットン(二代目)」です。ぽっちゃりとしたデザインとなり、いまなお良くも悪くもそのビジュアルが語り草となっている二代目ゼットンですが……このゼットンを操る「バット星人」もまた、なかなかどうして個性の際立ったビジュアルでした。
カニのような腕にカブトムシのようなツノ、コウモリのような飛膜が生えており、どこか「猪八戒」を思わせる三枚目の顔立ちをしています。これほど目立った特徴が多いのに、別名は「触角宇宙人」なのもまた、バット星人のいびつな魅力といえます。
さて、『帰ってきたウルトラマン』には、多くのかっこいい怪獣、宇宙人が登場したのですが、少なくともバット星人は「かっこいい」文脈では語られにくい存在だったといえるでしょう。加えて、バット星人の個性的なビジュアルに関しては、「デザイン担当者」がいまいちハッキリしていない、という話まであるのです。そのバット星人のビジュアルに関する、意外な展開を振り返ります。
まず大前提として、怪獣や宇宙人のデザインが「不明」ということは、業界においてはまれに起こり得ることです。とりわけ、デザイン画から着ぐるみ造形までを毎週のように行わなくてはならないTV特撮シリーズにおいては、デザインした本人すら記憶にないということもあります。
とはいえ、バット星人に関しては、物語を締めくくる「ラスボス」という重要な立ち位置でした。にもかかわらず、デザイン担当者が、いまもなおはっきりしていないのです。『帰ってきたウルトラマン』が残した大きな謎のひとつといえるでしょう。一説には、児童向け雑誌の編集者が描いたものをもとにしたという話もあり、当時の現場の多忙、混迷ぶりがうかがえます。
そしてバット星人のデザインに関する話は、昭和から平成に入って意外な展開を迎えます。「デザイン担当者が分かった」ということではなく、もっと根本的なものでした。私たちの知っているあのバット星人の見た目が、一新されてしまったのです。
2012年に公開された映画『ウルトラマンサーガ』では、バット星人が実に40年ぶりに復帰を遂げたものの……これに関しては「誰?」の一言です。初代とは、似ても似つかぬ姿でした。
すらりとした長身に、スタイリッシュなアーマーを装着したようなフォルムで、トレードマークだった両手の「ハサミ」もなく、頭頂部の大きなツノも生えていません。それなのに、別名「触角宇宙人」という設定は変更されず、かろうじて頭にその名残を認めることができます。
これが初代バット星人と「同種族の別個体」として登場したため、公開当時は特撮ファンの間でも大きな話題を集めました。なお、劇中では再びゼットンを操る強敵として登場し、以降も『ウルトラ』シリーズでは新デザインのバット星人が、たびたび活躍します。バット星人は、世代によって「かっこいい方」と「そうでない方」に分かれる、非常にユニークな宇宙人へと成長を遂げたのでした。
なお、新たなバット星人のデザインを担当したのは、後藤正行さんです。これは、確定情報です。
(片野)