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甘くなかった『仮面ライダーガヴ』古参ファン熱狂のワケ 隠し味は「昭和ライダー」?

令和の新作になつかしさを感じるワケ

『仮面ライダーガヴ Blu-ray COLLECTION1』(東映ビデオ)
『仮面ライダーガヴ Blu-ray COLLECTION1』(東映ビデオ)

『ガヴ』が筆者たちの世代に訴求力がある理由、それは昭和仮面ライダーの持っていた要素を色濃く受け継いでいるからかもしれません。

 なかでも主人公たち仮面ライダーの戦う目的が、家族や友人といった身内を殺されたことがきっかけだったにも関わらず、それを乗り越えて弱者を守るということに目覚めるという点が筆者の注目する部分です。これは昭和ライダーで描かれることが多い展開でした。

 もうひとつが『ガヴ』に登場する仮面ライダーたちは改造された存在であるという点です。これは平成以降のシリーズでは避けてきた設定でした。一部では「改造人間」という言葉の持つ強さを、配慮したとも噂されています。確かに近年の医療技術の発展から考えると、適当な意味として受け入れるのは難しいかもしれません。

 こういった平成ライダーではあまりなかった設定を令和風に解釈したと考えると、確かに昭和世代には心打たれるのも納得でしょう。どこか懐かしさを感じる令和の新作というわけです。

 もちろん魅力となるものは、ほかにもありました。筆者が個人的に感じているのは、これまでの平成シリーズ以降ではテンプレートだった部分の改変です。

 たとえば、平成シリーズではライダー同士のバトルが頻発に行われてきました。これは単純な善と悪という形でなく、それぞれの信じるものが違うということから起こる対立です。この、それぞれの正義という部分が平成以降は人気を博してきました。

 この点に着目しつつ『ガヴ』を観ていくと、確かに感情のすれ違いで味方のライダー同士が争うこともあるのですが、比較的、短期間で関係が修復されています。それは主人公側ライダーの思いはひとつであり、目指す目的は一緒だからでしょう。

 ファンのあいだでも、「今までのシリーズだったら洗脳が解けるまで数週間はかかる」「いつもだったら肝心なことは何も言わないで即バトル」と、SNSなどに投稿されています。こうした視聴者の気分をモヤモヤさせない、ストレスが少ないことが高評価につながっているのでしょう。

 また幸果という存在が作品の救いになっている点も大きいと思います。仮面ライダーの理解者であり、バケモノと人々に怖がられるライダーたちの代弁者というポジションは、『ガヴ』という作品では欠かせないピースのひとつでしょう。

 その明るく裏表ない性格は、ショウマや絆斗、「ラキア・アマルガ/仮面ライダーヴラム」といった3人の仮面ライダーの生き方にも大きな影響を及ぼしています。そう考えると、幸果はヒロイン枠であると同時に、ライダーには欠かせない「おやっさん」枠ともいえるかもしれません。

 グラニュートのバイトに向かって、ガヴが「二度と闇菓子に関わらないか……この場でオレに倒されるか」と言い放つ決めセリフも、ヒーローらしさが出ているポイントでしょうか。個人的には大好きな部分です。最近、使う場面が少なくなりましたが。

『ガヴ』の魅力はまだまだありますが、ここまででいえるのは「かつてのヒーロー番組で必要なポイントを令和風に焼き直した」と考えられることです。いわゆる筆者のような昭和世代が興味を持つのは、当然かもしれません。

 いよいよ物語も終盤。はたして今後の展開はどうなるのでしょうか。最終回まで『ガヴ』には注目していこうと思います。

(加々美利治)

【画像】えええ50億人大爆死!? こちらが衝撃的な最後の「昭和ライダー」です

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加々美利治

TVマンガ研究家。おもにトレーディングカードやシールといったアイテム関係のテキスト制作に携わる。21世紀以降は東映アニメーションやバンダイナムコのwebサイトでのライティングを請け負う。近年はネット記事執筆へと軸足を移す。

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