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子供たちが熱狂した「ダブルライダー」登場から半世紀 時代とともに定義も変化して…

誕生から半世紀が経ったふたりの仮面ライダー「ダブルライダー」。登場時は1号と2号にだけ与えられた称号でしたが、時代の流れとともに後輩のライダーたちに受け継がれた栄光の証となりました。

偶然が生んだ「奇跡の存在」だった?

「ダブルライダー」初の登場回となった第40話を収録した「仮面ライダー Blu-ray BOX 2」(東映)
「ダブルライダー」初の登場回となった第40話を収録した「仮面ライダー Blu-ray BOX 2」(東映)

 新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 本日2022年1月1日からちょうど50年前の1972年に、『仮面ライダー』第40話「死斗! 怪人スノーマン対二人のライダー」が放映されました。このエピソードで初めて、ふたりの仮面ライダーが同時に登場します。それは歴史的な瞬間でした。

 もともと、主演の仮面ライダー/本郷猛役だった藤岡弘、さんが撮影中の事故で降板。その代わりに仮面ライダー/一文字隼人役として佐々木剛さんが、主演として番組を引き継ぎました。この偶然から、番組内にふたりの仮面ライダー、すなわち主役がふたり存在する作品になります。

 やがて藤岡さんのケガも癒え、まずは体調も見ながらゲストという形での復帰出演ということになりました。それが第40話(実質上は後編になる第41話も含まれる)だったというわけです。この時、実は藤岡さんのケガは完治しておらず、医者の反対を押し切って撮影に参加、撮影中に手術跡から出血までしていました。

 そういった複雑な事情も知らずに、筆者を含む当時の子供たちは1号と2号の「ダブルライダー」の共演に正月から興奮します。奇しくもこの前週、『帰ってきたウルトラマン』第38話「ウルトラの星 光る時」で、はじめてウルトラマンとウルトラセブンの共演が見られたわけですから、当時の子供たちにとって2週続けてのご褒美でした。

 そして、この第4クールの『仮面ライダー』では、外国から本郷が一文字を助けにやって来るという流れで、たびたびダブルライダーの活躍が見られることになります。このヒーローの共演劇が好評だったことから製作側は、第5クールの藤岡さん復帰以降もダブルライダーで行こうと考えました。しかし、佐々木さんが「藤岡さんが復帰するまでという約束」と、「自分がいては主演の藤岡さんを食ってしまう」という可能性を考えて番組を降板します。

 こうして藤岡さんが復帰して、第5クールの『仮面ライダー』が始まりました。そして、今度は外国から本郷を助けるために一文字がやって来るという形で、重要な局面にダブルライダーの活躍が見られるようになります。

 こういった事情から「ダブルライダー」というのは本来、1号と2号のことを指す言葉でした。しかし平成シリーズ以降、同一作品のなかで複数の仮面ライダーが出るようになってから、単純にコンビを組んだふたりの仮面ライダーを指す言葉に変わっていきます。同時に、主役の仮面ライダーを「1号ライダー」。その相棒となる仮面ライダーを「2号ライダー」という言い方をするようになりました。

 時代が変わることで、その言葉の意味も少しずつ変わっていった「ダブルライダー」。その変遷を振り返ってみましょう。

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