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『空の大怪獣ラドン』、「午前十時の映画祭」で上映へ 精巧ミニチュアに「滅びの美学」も

2022年4月から始まる「午前十時の映画祭12」に、4Kデジタルリマスター版『空の大怪獣 ラドン』が選ばれています。ラドンが破壊する福岡市街の精巧なミニチュアは、東京都現代美術館で回顧展が開かれる特撮美術のレジェンド、井上泰幸氏が手掛けています。スクリーンで観たい『空の大怪獣 ラドン』の魅力を振り返ります。

東宝怪獣映画初のカラー作品『空の大怪獣 ラドン』

『空の大怪獣ラドン』DVD(東宝)
『空の大怪獣ラドン』DVD(東宝)

「空飛ぶ戦艦か! 火口より生まれ 地球を蹂躙(じゅうりん)する紅蓮の怪鳥ラドン」

 東宝製作の怪獣映画初のカラー作品となった『空の大怪獣 ラドン』(1956年)は、公開時にそんな熱いキャッチコピーがポスターに躍っていました。

 世界中で大反響を呼んだ『ゴジラ』(1954年)、その続編『ゴジラの逆襲』(1955年)に続き、『空の大怪獣 ラドン』も大ヒット。ラドンはその後、『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年)や、ハリウッドで製作された『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019年)でも、大いに活躍することになります。

 2022年4月から始まる「午前十時の映画祭12」のラインナップに、多くの名作洋画と並んで、4Kデジタルリマスター版『空の大怪獣 ラドン』が選ばれています。「午前十時の映画祭11」では『モスラ』(1961年)が初公開時の「序曲」つきの上映だったことが、ファンを歓喜させました。今回もスクリーンいっぱいに繰り広げられるラドンの暴れっぷりに、注目が集まりそうです。

 東宝特撮映画のなかでも完成度の高さで知られる『空の大怪獣 ラドン』の魅力を振り返ります。

悪夢のような怪鳥ラドンの誕生シーン

 当時の日本ではまだ珍しいカラーフィルムで撮影された『空の大怪獣 ラドン』は、お正月映画として公開されました。東宝が大変な力を入れていたことが分かります。『ゴジラ』を大ヒットさせた本多猪四郎監督、円谷英二特技監督らヒットメーカーを起用していますが、『空の大怪獣 ラドン』の評価が高い理由は、ストーリーの面白さにあると言っていいでしょう。

 舞台となるのは九州・阿蘇地方にある炭鉱町。この町で坑夫たちが次々と惨殺される怪事件が発生します。若い炭鉱技師の河村(佐原健二)は事件の謎を追いますが、殺人鬼の正体は人間ではありませんでした。金属音のような奇妙な鳴き声とともに古代トンボの幼虫・メガヌロンが暗闇から現れ、河村たちに襲いかかります。炭鉱町はたちまちパニックに陥ります。

 驚くのは物語中盤からの展開です。坑道の奥深くには、メガヌロンの群れが生息していました。体長が3メートル近くある不気味なメガヌロンですが、巨大な卵から孵化したばかりの怪鳥ラドンの雛がついばみ、メガヌロンを捕食しているではありませんか。メガヌロンがまるで小さなアリのように感じらます。このシーン、映画館で初めて観た人は腰を抜かさんばかりの衝撃だったのではないでしょうか。

 脚本は『ゴジラ』『ゴジラの逆襲』を手掛けた村田武雄氏と、のちに特撮映画史に残る名作『ガス人間第一号』(1960年)や『マタンゴ』(1963年)を生み出す木村武氏との共作です。本多猪四郎監督の演出、円谷英二特技監督のこだわりとの相乗効果で、ラドン誕生シーンは悪夢のような強烈なインパクトを観る者に与えます。

【画像】阿蘇山生まれの人気怪獣「ラドン」登場作品(5枚)

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