70年代を席巻した「UFOブーム」 アニメ、特撮が続々放送、海外で「視聴率100%」の快挙も
1970年代後半にあったUFOブーム。その流れを受けてタイトルに「UFO」を冠した作品がいくつか製作されました。しかし、単なる流行に乗った作品というわけでなく、それぞれが革新的な要素を含んでいたのです。
UFOブームで路線変更した人気ロボットアニメシリーズ

本日6月24日は「UFOの日」。1947年にアメリカ合衆国ワシントン州で、はじめてUFOが目撃されたとされる「ケネス・アーノルド事件」が起こった日です。この時に未確認の円盤状飛行物体が目撃され、「空飛ぶ円盤(フライングソーサー)」という言葉が一般的になりました。
UFOとは本来は未確認飛行物体の略称ですが、この事件をきっかけに「UFO=空飛ぶ円盤」という認識が一般化されたようです。そのせいか、みなさんもUFOといえばだいたい円盤状の飛行物体を思い浮かべることでしょう。それゆえ、アニメなどで登場する円盤状の飛行体は確認された物体であっても、だいたいがUFOと呼ばれています。
このUFOが日本で大ブームとなったのが1970年代後半くらい。1975年2月23日には「甲府事件」と呼ばれるUFOと宇宙人の目撃事件も起きて、TVでもたびたび特番が組まれるほどのブームとなりました。そんなUFOブームの人気にあやかって、タイトルに「UFO」を冠したTVアニメ、特撮作品がいくつか製作されています。
まずは『UFOロボ グレンダイザー』。1975年10月5日から1977年2月27日に放送された巨大ロボットアニメです。
当時の子供に大人気だった『マジンガーZ』、『グレートマジンガー』に続いて製作されたマジンガーシリーズの第3作。それまでのシリーズの流れのなかでは異色の作品になっていますが、それには理由がありました。
本来は『ゴッドマジンガー』という、完全に世界観を同じくする続編の予定でしたが、玩具の売れ行きが下降気味だったことからその企画を断念。劇場用映画として製作された『宇宙円盤大戦争』をもとに、TV用の企画に作り直したのが本作でした。
この流れにはタイトルに付けられた「UFO」が示すように、UFOブームの影響が強くあったそうです。その結果、東映ロボットアニメ作品としては敵が初めて宇宙人ということになり、以降のロボットアニメでは宇宙からの侵略者が定番となっていきました。
グレンダイザーは、スペイザーと呼ばれるUFOと合体する巨大ロボットです。さらに前々作の主人公である兜甲児が登場し、前半は自作の円盤「TFO」に乗っていました。
本作からスタッフが入れ替わったことで、それまでアクションが中心だった作風から人間ドラマ部分が重視されるようになり、後にも語られるようになった名エピソードがいくつも生まれています。
そして、数多くの美形キャラを生み出した荒木伸吾さんが参加したことで、1話限りのゲストキャラでもファンの間で話題に上るほどの美形キャラが何人も登場しました。これをきっかけにファン活動も大きくなって、女性作家による同人誌活動が盛んだった初期の人気作品だったと言えるでしょう。
こうして当時の人気作品となった本作でしたが、実は国内よりも海外での人気の方が高かった作品でした。フランスでは『Goldorak(ゴルドラック)』という名前で放送され、さまざまな状況が重なった結果ですが視聴率100%を記録するほどの人気となります。さらに2013年には「世界のテレビを変えた50作品」のひとつとして選ばれました。
ヨーロッパだけでなく中東でも人気が高く、特にイラクでは「放送時間になると路地から子供たちの姿が消える」「国民全員が共感できるものはサッカーとグレンダイザーだけ」というジョークが生まれたほどだそうです。