『ファイヤーマン』50周年 強すぎた裏番組『サザエさん』との因縁とは
怪獣もシナリオも独自要素が強かった作品だったが
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前述したように、怪獣特撮の原点回帰を目指した『ファイヤーマン』の怪獣は、恐竜が進化して怪獣になったようなものがほとんどです。しかし、オーソドックスな恐竜タイプだけでなく、他作品であまり見られないような、独自の怪獣もいくつか登場しました。
筆者としては『ファイヤーマン』の怪獣で真っ先に思い出すのが、第10話「鉄の怪獣が東京を襲った!」に登場した「ロボット怪獣 バランダーV」です。そのインパクトは絶大で、近年のアニメ作品『SSSS.GRIDMAN』でカメオ出演するなど、ファンが多いのかもしれません。
また、近年活躍の場があった怪獣といえば、第19話「宇宙怪獣対原始怪獣」に登場した「宇宙怪獣 ムクムク」です。2019年に東京ドームシティで開催された体感エンターテイメント『かいじゅうのすみか』で、同企画の宣伝隊長に選ばれました。「初期ウルトラ怪獣以外のキャラを発掘する」という目的だったそうです。確かにムクムクは怪獣というより、そのままコアラのぬいぐるみという姿で、劇中でも違和感を覚えたデザインでした。
しかし、違和感と言う点では、第24話「夜になくハーモニカ」で登場した「音霊怪獣 ハモニガン」に敵うものはないでしょう。夢の島に捨てられたハーモニカが怪獣になったものですが、デザインはハーモニカそのものでした。「オブジェ」的な怪獣は他にもいますが、ただのハーモニカというデザインは、シュール以外の何ものでもありません。
ところが、このハモニガンはかなりの実力者で、ファイヤーマンの必殺技・ファイヤーダッシュが通じないほどの強さです。このため、ファイヤーマンは戦闘以外の方法でハモニガンを静めるのですが、この場面もシュールなシーンになっていました。未見の人はぜひご覧ください。
ここまで登場怪獣を中心にご紹介しましたが、ストーリー面でも特筆すべき点が多いと思います。いわゆる救いのない、ビターな物語が時おりあったのですが、第29話「射つな!怪獣だって友達だ」は、その最たるものではないでしょうか。
大人しい怪獣・スペーグスが、子供が人間に殺されて凶暴化し、ファイヤーマンがやむを得ず戦うというのが大まかなストーリーです。ここに子供の成長と、人間の行き場のない怒りの暴走というエッセンスも加えられ、考えさせられる物語となっていました。作品自体がマイナーゆえに取り上げられることも少ないのですが、ウルトラシリーズなら傑作群と言われてもおかしくないほどのエピソードだと思います。
その他にも、第12話「地球はロボットの墓場」は、キャストとしても宇宙工学博士・水島三郎役で出演している岸田森さんの脚本で、彼の代表作である『怪奇大作戦』を思わせる、秀逸なラストが印象的でした。
現在では評価がされるようになった『ファイヤーマン』ですが、放送当時は視聴率面で苦戦します。そして、他の円谷プロ創立10周年記念番組として製作され、1年間放送された『ウルトラマンタロウ』や『ジャンボーグA』と異なり、全30話で終了しました。
『ファイヤーマン』は他の特撮ヒーロー作品と比べても、原典に立ち返りながらも独自の色が強かった作品でしたが、それゆえに地味な印象がぬぐえなかったのかもしれません。「裏番組に苦戦した、早すぎた名作」、そんな作品だったのでしょう。
(加々美利治)







