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松本零士氏が戦場の悲惨さを描いた『ザ・コクピット』 元パイロットの父からの影響も

『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河鉄道999』などのSF作品を生み出し、85歳で亡くなった松本零士さんが、ライフワークのひとつとして取り組んだのが「戦場まんがシリーズ」でした。今回は同作をもとにしたアニメ『ザ・コクピット』を振り返ります。戦闘機パイロットだった父親の影響が強く感じられる作品です。

ライフワークだった「戦場まんがシリーズ」

 断続的に連載された『ザ・コクピット』から3つのエピソードがアニメ化もされている。画像は『TOKUMA Anime Collection「ザ・コクピット」 DVD(徳間書店)
断続的に連載された『ザ・コクピット』から3つのエピソードがアニメ化もされている。画像は『TOKUMA Anime Collection「ザ・コクピット」 DVD(徳間書店)

 マンガ界、アニメ界に多大な功績を残し、2023年2月13日に85歳で亡くなった松本零士氏は、1977年に放映されたTVアニメ『宇宙戦艦ヤマト』の監督・設定デザインを務め、TVアニメ&劇場アニメ版のどちらも大ヒットした『銀河鉄道999』の原作者として、第一次アニメブームの立役者になったことで知られています。

 ロマンあふれるSF作品は、日本だけでなくヨーロッパでも大人気となり、フランスのテクノユニット「ダフトパンク」のミュージックビデオ「インターステラ5555」なども手がけています。四畳半アパートでの下宿生活を振り返った自伝的マンガ『男おいどん』に、懐かしさを覚えるファンも少なくないでしょう。

 数多い松本零士作品のなかでは、第二次世界大戦を描いた「戦場まんがシリーズ」も忘れられません。「戦場まんがシリーズ」を原作にしたオリジナルビデオアニメ『ザ・コクピット』(1993年)が、Amazon Primeビデオにて現在配信中です。『ザ・コクピット』の見どころとともに、松本零士ワールドを振り返りたいと思います。

戦争の冷酷さを伝えるオムニバス作品

 松本零士原作・総設定によるアニメ『ザ・コクピット』は、3話構成のオムニバスものです。「週刊少年サンデー」や「ビッグコミックオリジナル」などに掲載された「戦場まんがシリーズ」および「ザ・コックピット」は全62話になりますが、そのなかから厳選された「成層圏気流」「音速雷撃隊」「鉄の竜騎兵」がそれぞれ25分のエピソードに仕上げられています。

 第1話「成層圏気流」は、オリジナルビデオアニメ『妖獣都市』(1987年)が高く評価された川尻善昭監督が脚本・キャラクターデザイン・作画監督まで手がけています。第二次世界大戦末期のドイツ、空軍パイロットのエアトル・フォン・ラインダース(CV:堀内賢雄)が、ある輸送機の護衛を命じられるという物語です。輸送機に搭乗する人物と軍事機密品に、ラインダースの心は揺れ動きます。

 ドイツ空軍のフォッケウルフ、イギリス空軍のスピットファイアなど、第二次世界大戦時の各国の名機が次々と登場します。松本零士作品ならではのリアルなミリタリーものですが、決して戦争を美化した内容にはなっていません。戦争を生き残った兵士の悲しみが感じられるエンディングとなっています。

【画像】『ヤマト』だけじゃない、印象に残る松本零士作品のキャラクターたち(7枚)

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