ファミコンのバグ技「カセット斜め差し」はなぜ可能だった? 画面が化けてもゲームが動いたワケ
ファミコンのゲームカセットは、差し込みが甘いと画面の絵が乱れるものの、ゲーム自体は正常に遊べることがありました。ゲームによっては「裏技」のような挙動をするものがあり、これを意図的に引き出そうとしたのが「斜め差し」と呼ばれる技です。何故ファミコンはそんな扱いをしても動いたのでしょうか? そこには当時珍しかった構造的な特徴がありました。
カセットを正しく差さないと異常が発生する理由

かつて、ファミコンゲームを裏技的に遊ぶ方法のひとつとして「斜め差し」というものがありました。
「斜め差し」とは、ファミコンのゲームカセットをしっかり差し込まず、意図的に半端な状態(斜めなど)にしてバグ的な動作を引き起こす行為で、「半差し」「半抜き」などとも呼ばれます。
これをすると、表示される絵が乱れてもゲームを遊べることがあるのですが、それだけでなく、いきなりエンディングが始まったり、存在しないステージが遊べるなど、ゲームによってさまざまな現象が発生したため、当時のゲームファンのなかにはそれを探して楽しむ人たちもいました。
これはいったいどういう原理で起きるのでしょうか? それを知るには、ファミコンの構造を知る必要があります。
※本記事はファミコンで発生するバグなどの現象について構造面から解説するものであり、それを利用した遊びを推奨するものではありません。ゲームカセットの「斜め差し」を行うと、カセットやファミコン本体が破損する可能性があります。
現代のゲーム機はほぼ全て、ゲームデータをメモリなどに一度読み込み、溜めてから処理します。任天堂のゲーム機の場合、この仕組みは1996年発売のNINTENDO64から採用されました。
この方式の代表的な利点は、CD-ROMゲームで発揮されます。ROMと比較して読み込みが遅いため、最初にデータをまとめて読み込んでおくことでその欠点を補おうというわけです。当時ゲームをROMカセットで供給していたNINTENDO64がこの構造を採用したのは、「元々64はCD-ROMでゲームを供給する予定だったから」という噂が流れたことがあるぐらい、CD-ROMにとってメリットが大きいのです。
他には、読み込んだデータをチェックして破損などの不正があった場合、もう一度読み込み直すことでバグを極力防止できるという利点もあります。
「斜め差し」を語る場合は、この後者に着目すると分かりやすいでしょう。実はファミコンは、ゲームカセットから読み込んだデータを直接処理する構造でした。ということは、ゲームデータが本体に送られる経路に問題があって、データが壊れていてもそのままです。
ところが経路に問題があるかどうかは、私たちプレイヤーの手に委ねられていました。ゲームカセットをしっかり差し込まないと、端子の接触が悪くなり正しくデータが送られません。そのほか、扱いが雑だと端子に汚れが付くこともありますね。これらの要因によって、普通に使っていたつもりでも、ゲームが途中で止まったり絵が化けたりといったことが起きました。「斜め差し」はそれを意図的に行ったものというわけです。
では次に、どうしてその状態でもゲームが動くのかを説明しましょう。





