『サザエさん』の人気者・ノリスケには元ネタの「適当キャラ」がいた?
国民的アニメ『サザエさん』の人気者といえば、今では一挙手一投足がネットユーザーの注目の的になるノリスケでしょう。ところで、ノリスケの元ネタだと思われるキャラクターが、長谷川町子先生の別の作品にいたのをご存知でしょうか。
登場するたびにネットがざわつくノリスケ

『サザエさん』の人気者といえば、サザエのいとこであるノリスケでしょう。ふっくらとした見た目で性格も明るく、人懐っこいところがあってカツオたちも慕っているようです。
その一方で、会社をズル休みするためにフネが死んだと嘘をついたり、勝手に磯野家の冷蔵庫を開けて食べ物を漁ったりするなど非常識な行動が目立ち、波平に何度も磯野家出禁を言い渡されています。とにかく食い意地が張っていて、いい加減なのが特徴です。
ネットでは「クズ」「ハイエナ」などと呼ばれることもあり、ノリスケが登場するだけでSNSがざわめきます。逆にちょっと普通のことを言うだけで、「まるでまともな大人」と賞賛されていました。やっぱり、ノリスケは『サザエさん』ファンに愛されていると思います。
さて、そんなノリスケには、実は「元ネタ」らしきキャラクターがいます。それは長谷川町子先生の『似たもの一家』に登場する「のん助」です。
『似たもの一家』は「週刊朝日」誌上に1949年(昭和24年)4月から12月まで連載されたショートコミックです(4コママンガではありません)。作家の伊佐坂難物、妻の軽、息子のじん六、娘のウキエの4人家族が主人公でした。名前からわかるように、その後、伊佐坂一家は磯野家の隣人として『サザエさん』に登場します。
『似たもの一家』の連載は、『サザエさん』の連載が朝日新聞夕刊に移る際、『サザエさん』に集中したい長谷川先生が打ち切ってしまいました。伊佐坂一家の『サザエさん』登場はその後のことです。つまり、キャラクターを「移籍」させたわけです。
そんな『似たもの一家』に登場するのん助は、伊佐坂難物の弟で、じん六、ウキエの叔父にあたります。ふっくらしており、鼻も丸く、見た目はノリスケにそっくりです。
陽気なところやそそっかしいところ、ズボラなところもよく似ています。連載初回では、兄の難物に一昨年のかんぴょうを送りつけ、お返しに兄の本の箱に入った海苔をもらうと「兄さんの本か!! 面白くねえからなァ」と暴言を吐き、中身を見ずに感想の手紙を送るという、のん助の適当さがよく表れたエピソードが描かれていました。なお、作家志望ですが、難物に「みゃくはない」と一刀両断されています。