ゲームシナリオライターの憂鬱… クリエイティブな現場の裏側に「やる方ない現状」
ゲームのシナリオライターの場合

さて、実のところ、筆者はゲーム業界でフリーのシナリオライターとして働いている人間でもあるので、いくつか体験談を書かせていただこうかと思います。
ゲームのシナリオライターの立場は、ごく一部の方を除いてかなり低いものです。特にソーシャルゲームの場合、シナリオライターの名前は表に出ないことが多くなってきました。当初はネットでの叩きからライターを守るためだったのですが、社内でシナリオライターを抱えている会社が引き抜きを恐れるなどの理由から、徐々に慣習化されてしまっているのです。
つまり、いまソーシャルゲームのシナリオの仕事をすると、経歴に空白ができてしまう状況となっています。実績を提示して新たな仕事を探さなければいけないフリーの人間にとっては人生のかかった切実な問題なのですが、名前を出す約束で引き受けた仕事が後出しで掲載不可になるなど、状況は悪化の一途をたどっているのです。
シナリオライターを搾取する動きも露骨です。先日「クリエイターの派遣業に乗り出したい」人物からそこそこ美味しいギャランティの話を持ちかけられたのですが、顔合わせの寸前で、かつてとある団体のオーナーを務めていた時期に、所属者へのギャランティの未払い疑惑が持ち上がった人間であることがわかり、即座に断りを入れました。
クリエイターがクリエイターを搾取することもしばしばあります。ある著名なクリエイターが高額で仕事を引き受け、あまり実績の無いライターにごくわずかな金額で仕事を割り振ったため、低クオリティのシナリオが仕上がる事例などいくらでもあります。正当な商行為ではありますが、限度を超えれば詐欺に過ぎません。現場とはかくも滅茶苦茶なものなのです。
いつかクリエイターがないがしろにされない世界が欲しい。そのように願っているクリエイターは、おそらく大勢いるのではないでしょうか。
(早川清一朗)

