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新型コロナ蔓延の今、漫画『デビルマン』が気づかせてくれる「人間の心」とは?

「きさまらは人間のからだをもちながら悪魔に! 悪魔になったんだぞ!」

『デビルマン』の主人公・不動明(左)と飛鳥了(右)。ふたりの関係は物語の核心に関係して……。 (C) 永井豪/ダイナミック企画
『デビルマン』の主人公・不動明(左)と飛鳥了(右)。ふたりの関係は物語の核心に関係して……。 (C) 永井豪/ダイナミック企画

 もちろん、マンガ版も当初は「妖獣シレーヌ」や「ゲルマー」、「ジンメン」などのデーモンとの闘いをメインに描いているのですが、物語が後半に進むにつれ、「人間のおどろおどろしさ」を炙り出すダークな内容に変化していきます。

 特に「デーモン族」が人間への無差別合体を始め、世界がパニック状態になってからの展開は、いまの現実を彷彿とさせるものです。突如、隣の住人が「悪魔になった」と疑い、「悪魔狩り」を始める人間のさまは、「悪魔よりも悪魔的」です。

 いまの世の中の一部では、日々新型コロナウイルスと最前線で闘っている医療関係者に対して「コロナじゃないのか?」という疑念を抱き、根拠のない差別やイジメをする人もいるという話や、宅配便のスタッフに対して、いきなり消毒スプレーを吹き付けて不遜な態度で接する人もいるという、にわかに信じがたい話も聞かれます。

 姿の見えないウイルスに対し恐れを抱く気持ちは理解できますが、やはりどんな状況下においても決して忘れてはならないのは相手に対する敬意と「人間の心」です。

 マンガ版における「悪魔特捜隊本部」で人間が人間を虐殺する光景を目にした「デビルマン」が怒りに打ち震え、「おれはからだは悪魔になった……だが人間の心をうしなわなかった!」「きさまらは人間のからだをもちながら悪魔に! 悪魔になったんだぞ!」と叫ぶシーンは、まさに同作品を象徴するものです。

 マンガ版『デビルマン』は最終的に、人類滅亡後に不動明率いる「デビルマン軍団」とサタン率いる「デーモン族」の最終戦争に突入するのですが、現実世界に生きる我々は『デビルマン』という名作を教訓に、先の見えない新型コロナウイルスという苦難を前にしても、「人間の心」を失わずに共に乗り越えたいものです。

(渡辺まこと)

【画像】斬新だった『デビルマン』の設定、物語…その影響力は現代にも(6枚)

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