新型コロナ蔓延の今、漫画『デビルマン』が気づかせてくれる「人間の心」とは?
永井豪氏の代表作のひとつであり、後世に大きな影響を与えたマンガ『デビルマン』は、連載から50年近く経った現代の日本に通じる描写や設定が見られます。新型コロナウイルス蔓延によるパニックを前に、同作から読み取れるものとは……?
「人間 vs 悪魔」の構図をとったマンガ版『デビルマン』
現在、日本はもとより世界中で猛威を振るっている『新型コロナウイルス』ですが、国内では2020年4月20日(月)の段階で感染者1万人以上、死亡者171人、国外では感染者が200万人以上、死亡に至っては15万人以上となっています。
目に見えない新型ウイルスという敵に対し、感染拡大を抑えるべく東京オリンピックが延期となり、全国各地のイベントも同様に中止あるいは延期、飲食店やカラオケ店、スポーツジムなどが休業、海外でもパリやニューヨークなどの都市で外出禁止令が施行され、先の見えない不安と恐怖が世界を覆っています。こうした状況について、あるひとつの作品が世相とリンクするように、筆者の脳裏に浮かびあがります。
それは、1972年から1973年にかけてNET系列(現・テレビ朝日)でTVアニメが放送され、同時期に「週刊少年マガジン」で連載された、永井豪先生による『デビルマン』です。
主人公である不動明が「デビルマン」となり、地球の先住者である悪魔、「デーモン族」と闘いを繰り広げるという内容なのですが、アニメ版とマンガ版ではそのアプローチが大きく違うものとなっています。
講談社の文庫版『デビルマン』1巻のあとがきである「デビルマン黙示禄』を永井豪先生自らが執筆しているのですが、そもそも『デビルマン』はアニメ版が先行した企画で、アニメでは「悪魔VS悪魔」というダークヒーローものだったが、読者の年齢層が高かった当時の「マガジン」に合わせ、よりリアリティを追求した内容に変更したとのこと。これにより、「人間VS悪魔」がメインテーマとなったのです。
実際、アニメ『デビルマン』の設定では「不動明に乗り移った悪魔」ですが、マンガ版の方は「人間、不動明が悪魔の能力を乗っ取り、デーモン一族と闘う」と、異なる設定になっています。