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【金ロー】いま見逃せない『風の谷のナウシカ』の巨神兵。『エヴァ』を読み解くカギに?

宮崎駿監督の初期代表作『風の谷のナウシカ』が、2020年最後の「金曜ロードSHOW!」でオンエアされます。2021年1月2日、3日には歌舞伎版がNHK BSプレミアムでTV中継されるなど、さまざまな形になって愛され続けている作品です。『ナウシカ』続編の可能性、『シン・エヴァンゲリオン』の公開を控える庵野秀明監督との関連性を探ります。

宮崎アニメ最強ヒロインが聖夜に降臨

『風の谷のナウシカ』(1984年)より
『風の谷のナウシカ』(1984年)より

 アニメ史上最強の美少女ヒロインが、クリスマスの夜に地上波テレビに降臨します。2020年12月25日(金)の「金曜ロードSHOW!」(日本テレビ系)は、宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』(1984年)がオンエアされます。21時~23時24分のノーカット放映となります。

 宮崎監督は、1978年にTVアニメシリーズ『未来少年コナン』(NHK総合)で監督デビューし、『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)で劇場監督デビューを果たしました。『未来少年コナン』は米国の児童文学、『ルパン三世』はモンキー・パンチ氏の青年コミックと、それぞれ原作がありました。『風の谷のナウシカ』は宮崎監督自身が1982年~1994年に「アニメージュ」(徳間書店)で連載した同名コミックが原作となっています。宮崎監督にとって、初のオリジナル長編アニメでした。

 母性愛を感じさせる美少女ヒロインの活躍、爽快感あふれる飛行シーン、自然と文明社会との対立、作曲家・久石譲氏とのタッグ結成……。宮崎駿ワールドの完成形となった作品です。日本テレビ系での放送は、すでに19回目。ストーリーはすでに知っていても、歌舞伎やオペラのような感覚で名場面の数々を反芻する楽しみがあります。

清純な少女・ナウシカと対照的な大人の女性・クシャナ

 SFアニメの世界では今やすっかり定番となっていますが、ナウシカは「闘う美少女ヒロイン」の先駆的存在です。「火の七日間」と呼ばれる最終戦争後の荒廃した世界を舞台に、風の谷の族長の娘・ナウシカ(CV:島本須美)は、圧倒的な軍事力で自然も人心をも押さえ込もうとする権力者に勇敢に立ち向かいます。

 腐海で暮らす巨大生物・王蟲に襲われる旅人・ユパ(CV:納谷悟朗)を救うシーンから、物語は始まります。グライダーを思わせる飛行機「メーヴェ」に乗ったナウシカが、暴走する王蟲を鎮めてみせる鮮やかなアクションシーンです。軽やかに空を舞うナウシカとの対比で、王蟲の巨大さもよく分かります。

 ユパが連れていた野生のキツネリスに、ナウシカは「テト」と名付けます。人間には本来なつくことのないキツネリスですが、テトはナウシカとすっかり仲良くなります。誰もが恐れる王蟲とさえ、ナウシカは心の声で対話しようとします。虫や動物にとても優しいナウシカですが、風の谷を治める父親に刃を向ける軍事国家・トルメキアの兵士には容赦しません。杖を武器代わりに、クロトワ(CV:家弓家長)の部下たちを撲殺してしまいます。

 冷静さを取り戻したナウシカは、自分のなかに潜む凶暴性に恐れおののきます。自分の感情や力をうまく制御できないことに悩みます。それでもナウシカは族長の継承者として、風の谷を守るためにシビアな状況に向き合わざるをえません。一方、武装兵団を率いるトルメキア王国の皇女・クシャナ(CV:榊原良子)はとてもクールな現実主義者で、ナウシカとは対照的なキャラクターとなっています。

【画像】『エヴァ』を連想させる? 「火の7日間」と巨神兵のシーン(5枚)

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