ウルトラマンタロウの「切なすぎる」エピソード 東京タワーをクリスマスツリーに…
「簡単に、人は死ぬ」という現実を突きつけて…

「ウルトラのクリスマスツリー」のメインキャラクターは、ウルトラマンタロウとキングトータス・クイントータスの戦いに巻き込まれ、両親を失った少女・ひとみです。防衛チーム「ZAT」の面々がクリスマスに浮かれるなか、犬を抱えたひとみは、ひとり寒さに凍えていました。手にした不思議なビー玉を除き込むと、そこには家族とともにクリスマスをすごすひとみ自身の姿が。しかし、現実のひとみの父親は戦いの衝撃で倒れた本棚の下敷きになり、崩れ落ちる建物と運命をともにしていたのです。
ひとみとともに逃げ出した母親も瓦礫に押しつぶされて身動きが取れなくなり、通りすがりの男性にひとみを託し、炎の中に姿を消しました。ウルトラマンと怪獣の戦いに巻き込まれた人間は簡単に死んでしまうという現実を、観る者に突きつけるのです。
ひとみを託されたおじさんは、実は地球を調査しに来ていたミラクル星人であり、さまざまな光景が見える不思議なビー玉をひとみにプレゼントし、地球を去りました。その後ミラクル星人は地球侵略を狙うテロリスト星人に殺されてしまうのですが、このあたりのネーミングセンスはもう一ひねり欲しいのが本音です。
そしてクリスマスイブの日。テロリスト星人が地球に襲来します。星人と戦おうとするひとみをなんとか説き伏せタロウに変身した東光太郎ですが、危険物の多い工場地帯での戦いを余儀なくされ、思うように技を繰り出せず危機に陥ってしまうのです。
絶体絶命となったタロウですが、ひとみが投げつけた不思議なビー玉がテロリスト星人を一撃で打ち倒し、難を逃れます。38話は、ミラクル星人が遺したビー玉を使ったとはいえ、地球人の少女が巨大な怪獣を撃破する珍しい結末を迎えた回なのです。
ひとみに救われたタロウは、東京タワーをクリスマスツリーに装飾します。怪獣を倒すためとはいえ、ひとみの両親を死なせてしまったタロウにできる精いっぱいの罪滅ぼしだったのでしょう。
コメディ寄りなストーリーが多いとされる『タロウ』のなかでも異彩を放つ「ウルトラのクリスマスツリー」。クリスマスに改めて見返してみてはいかがでしょうか。
(早川清一朗)