「戦争が日常」になった2022年 ウルトラセブンの名言「悲しいマラソン」が考えさせられる
平和のカギを握る偉い人にも見てほしい

「超兵器R1号」に関しては、多くのファンが思い思いの感想をブログなどで綴っています。海外にもファンは多く、教材として子どもに見せた教諭もいるとか。
映像には意味ありげな演出もいくつかありました。ギエロン星獣が地上に降り立ったとき、原爆で廃墟と化した長崎の浦上天主堂のように見えるセットがありました。また、ギエロン星獣とセブンが戦う野原は緑が生い茂りきれいな花が咲いていました。美しい自然も兵器は奪ってしまう、そんなコールを感じます。
ラストシーンでリスが滑車を回し続けるシーンには裏話があり、台本上は「やめるんだ、もうやめるんだ、おまえも……」というダンの心の声を入れる流れでしたが、放送では無言で終わっています。これは鈴木監督が、最後の映像で視聴者自身にこの物語の内容を感じ取ってほしいと考えての演出だったそうです。
『ウルトラセブン』放送の時代は、世界全体で権力者が強固だったため、多くの国のクリエイターが社会に対する反発を匂わせる作品を作っていました。ただ、『ウルトラセブン』は子ども向けのテレビ番組です。
「超兵器に対抗して、もっと強烈な破壊兵器を作りますよ!」、「それよりも強力な兵器をまた作ればいいじゃないか」というド直球なやりとりは、ヒーローと悪者が戦う架空の番組だからこそのやりとりともいえ、また子どもにも伝わりやすいようあえて強く明確な言葉で発信したのかもしれません。特にダンが言った「血を吐きながら続ける悲しいマラソンですよ」は、強烈で胸に刺さります。
ギエロン星獣は勝手に星を破壊されて最後は殺されてしまうという、かわいそうな被害者です。『ウルトラセブン』の放送から55年経った2022年は、遠い場所で起こっている「戦争」が日常になってしまった1年でもありました。本来であれば軍事力や核兵器を動かす権力を握り、世界の平和を左右する人たちに、第26話「超兵器R1号」を見てほしいと思わずにいられません。
(石原久稔)




