『シャリバン』誕生から40年 悪役が「怖すぎ」て抗議殺到も…大人も惹きつけた怪奇路線
悪が強いから正義が輝く!『シャリバン』を支えた敵役たち

前述したように、怪奇性を主軸に置いた演出によって、本作の敵組織である「宇宙犯罪組織マドー」の不気味さは際立っていました。
その首領である魔王サイコは、無表情で玉座から動かぬ巨像のような姿に、抑揚のないかすれた声がこれまでにない悪ボスという印象を与えています。しかも、時々「カーッ!」という声と共に表情を見せるのも印象的でした。
これは担当声優である飯塚昭三さんが声帯の不調から復帰したばかりだったという事情もあります。そのため、飯塚さんは前作『ギャバン』の敵首領であるドン・ホラー役を第10話で降板し、半年間の休養を取っていました。ちなみに特撮の悪役声で有名な飯塚さんですが、この作品枠では『機動刑事ジバン』まで8作連続で参加、そのうち6作で敵首領の声を担当しています。
シャリバンとの戦闘で前線指揮を執るガイラー将軍も筆者には印象的でした。戦う時に発する「抹殺!」の掛け声と、地面に剣を突き立てて火柱をあげる攻撃方法は、オマージュ作品などでもよく再現されています。
マドーで唯一のコミカル要素を持ち、髪形が似ていることから当時は「サリーちゃんのパパ」などとファンから言われていました。人気があったからか、演者である栗原敏さんは後に「宇宙刑事シリーズ」を締めくくるスペシャル番組でゲスト出演しています。
そして本作でもっとも話題になった悪役が、第34話から登場した軍師レイダーでしょう。演じた安藤三男さんの鬼気迫る演技に、メイン視聴者である子供たちが怖がり、番組へ抗議が殺到したとまで言われています。
レイダーの演技は子供向けの枠を超えた迫真の演技で、子供のころから安藤さんの悪役を見てきた筆者の目から見ても納得できるほど。怖くてチャンネルを変えてしまう子供が増えたのは理解できました。
しかし、こういった悪役が強いからこそヒーローであるシャリバンの活躍が目を引いたわけです。変身前の電を演じた渡さんのキレキレのアクションも合わせて、最後には正義が必ず勝つという勧善懲悪なストーリーが子供たちの心を引き付けたのでしょう。
そのスピリットを歌にしたエンディング曲「強さは愛だ」は、特撮ヒーロー史に残る名曲です。エピソードに合わせて2番の歌詞を使うという演出も好評でした。
この『シャリバン』の成功が続編である『宇宙刑事シャイダー』を生み、「宇宙刑事シリーズ」の流れを繋げます。そのバトンは後に「メタルヒーローシリーズ」となり、90年代には特撮ヒーローの大きな柱となりました。
(加々美利治)



