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オイルショックで味方全滅! 問題の数々が熱いドラマに昇華『ウルトラマンレオ』50年

オイルショックがMACを全滅させた!?

アストラはレオの双子の弟、第22話より登場。BANDAI SPIRITS「S.H.Figuarts アストラ」 (C)円谷プロ
アストラはレオの双子の弟、第22話より登場。BANDAI SPIRITS「S.H.Figuarts アストラ」 (C)円谷プロ

 ゲンとダンは共に正体を隠した宇宙人で、そのことはお互いに他人には秘密となっています。その秘密の共有ゆえに強固な師弟関係を構築しているといえるかもしれません。

 しかし、この設定は企画当初にはありませんでした。本来なら「MAC(宇宙パトロール隊)」の隊長は地球人「川上鉄太郎」という人物で、この役を『ウルトラセブン』でダンを演じた森次晃嗣さんにオファーしたそうです。

 ところが森次さんは、「ウルトラ」シリーズでダン以外の役を演じることに異を唱えました。そこで製作陣は、セブンが変身能力を失うという展開を考え、ダンが登場する設定へと変更し、そして森次さんはダン役での出演を了承しました。

 これにより、前述の新旧ヒーローの交代劇、秘密を共有する師弟関係という、作品のテーマを強固なものにする設定が生まれたというわけです。しかし、これもまた諸刃の剣だったといえるかもしれません。

 それはゲンとダンの絆が強固であるがため、MACのほかの隊員のドラマがかすんでしまうからです。活躍が少ないこともそうですが、殉職や転任といった入れ替わりが多く、MAC隊員が個性を見せないまま、「いるだけの存在」のように扱われていました。

 その反面、ゲンが指導員として活動している「城南スポーツセンター」のメンバーは、作品の中心にいることが多くなっていました。そのため、ファンのなかでもMAC隊員をすべてわかる人は相当な「通」といえるかもしれません。

 こうしてゲンとダンの関係がクローズアップされるほどに、ほかのMAC隊員は活躍の場を失っていき、結果的にMACという組織が希薄化し、作品にとって不可欠な存在ではなくなりました。それゆえに、番組後半のキャスト陣の大幅リストラの際に、防衛組織としては初の「全滅」という展開を迎えます。

 そもそもの要因は、オイルショックによる影響で、制作費を緊縮しなければならなかったからでした。レギュラー陣は減らされ、基地のセットの維持費もカットされます。このほかにも怪獣の着ぐるみを減らし、プロップ(操演などに使う造形物)をメインとする方法にシフトチェンジしました。

 こうして第4クールから始まったのが「恐怖の円盤生物シリーズ!」というわけです。操演で動かすように設定された円盤生物は、制作費の削減という台所事情による苦肉の策でした。

 しかし、この「恐怖の円盤生物シリーズ!」は、これまでにない絶望的な展開で視聴者の興味を盛り上げます。またゲンが孤独な戦いを強いられることで、その成長を描くというドラマにも結びつきました。

 時代の波に翻弄された『ウルトラマンレオ』ですが、それでも第二期「ウルトラ」シリーズの最後を飾るにふさわしい名作だったと思います。筆者も当時の逸話を聞いた後、映像を見返すと、子供の頃よりも好きになりました。当時のスタッフの苦労が作品に込められた名作だと思います。

(加々美利治)

【画像】『レオ』の物語を彩った宿敵「マグマ星人」と伝説の英雄「ウルトラマンキング」のビジュアルをチェックする(4枚)

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