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本格的すぎた?『ジャッカー電撃隊』 石ノ森先生の渾身作がヒットしなかった時代背景

初代『仮面ライダー』から数年で時代の空気はガラッと変わっていた

「スーパー戦隊 Official Mook 20世紀 1977 ジャッカー電撃隊」(講談社)
「スーパー戦隊 Official Mook 20世紀 1977 ジャッカー電撃隊」(講談社)

 また、「キレンジャー」のようなコメディメーカーがいないのも、人気低迷の原因のひとつだったかもしれません。そのうえリーダー「桜井五郎/スペードエース」と紅一点「カレン水木/ハートクイン」のメンバー同士の恋愛も、子供たちはピンとこなかったようです。『ジャッカー』は実写版『サイボーグ009』をイメージして作られたものの、制作意図が裏目に出て、子供たちにそっぽ向かれてしまいました。

『ウルトラマンVS仮面ライダー』(文春文庫)に収録された石ノ森章太郎先生のインタビューによると、石ノ森先生は「何が『新しい』のかということなんだけど、今までスポットがあたっていない部分から、ヒーローを掘り出していくよりしょうがない。そうすると、僕らにとって未開拓の部分は、暗いヒーローというか、誰もそういうヒーローを作っていなかった。(中略)僕の中にある人間の陰の部分をもっと直視しなきゃいけないみたいのがあって、つまり陰の部分を描かないことには生身の人間を描くことにはならんだろうという発想につながっていくんだと思う。『ミュータント・サブ』も『サイボーグ009』もそう」と、自らの作品観について語っています。

 石ノ森先生が真剣に作品に向き合えば向き合うほど、当時の明るく楽しいものを求めていた視聴者のニーズとズレていたのは否めません。視聴率は低迷し、路線変更を余儀なくされました。怪人をコミカルにしたり、必殺技に野球の要素を取り入れたりなど、『ゴレンジャー』に近付いていきます。23話から変装の名人である「番場壮吉/行動隊長ビッグワン」やコメディメーカーの「姫玉三郎」など、明るく楽しい要素を取り入れましたが、時すでに遅く、視聴率回復は見込めず番組は35話で終了します。

 その後、1979年『バトルフィーバーJ』が放送されるまで、スーパー戦隊シリーズは約1年間も休止することになり、石ノ森先生はスーパー戦隊の原作から離れました。しかし、石ノ森先生の作品が視聴者に受け入れられなくなったワケではなく、その後も「レッドビッキーズ」シリーズや『燃えろアタック』といった東映制作の原作を担当しています。

 時代は超人的な能力を持った孤高のヒーローから、等身大の主人公が失敗をしながら奮闘する、身近な内容の作品が受け入れられる時代になっていました。『仮面ライダー』が大ヒットした1970年代前半と『ジャッカー』が放送された1977年では、時代の空気がガラッと変わっていたのです。

 制作された時代が合っていれば、『ジャッカー』は路線変更することなく、石ノ森先生の狙い通りに、最終回までリアルなドラマを展開できていたかもしれません。

(LUIS FIELD)

【画像】え…っ? こんな美女がオトナ向けな恋愛模様を? これがスペードエースと恋仲になった「ハートクイン」のカレン水木です(3枚)

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