『ファイプロG』発売から21年。プロレス愛あふれるストーリーモードを体感せよ!
プロレスゲームの傑作としてファンに愛されている「ファイヤープロレスリング」シリーズのなかでも、1999年6月に発売された『ファイヤープロレスリングG』は、プロレスの歴史を見届けてきた熱心なファンの心を揺さぶるストーリーモードを備えた名作として、今なお魅力を放っています。
道場に入門して大舞台を目指す。主人公の背景も細かく設定可能
プロレスというものを1試合、1試合の「点」ではなく、まるで大河ドラマを見るように壮大な物語を「線」で結んでいくものととらえ、長年見続けているマニアの方も多いと思います。過去に発売されたプロレスゲームのなかでも、そのような世界観を最も適切に表現したゲームは、『ファイヤープロレスリングG』(以下、ファイプロG)といえるかもしれません。
同作は今から21年前、1999年6月24日にヒューマンより発売されたプレイステーション用ソフト。数多のプロレス・ゲームのなかで「ファイプロ」シリーズを最高傑作として挙げる方は少なくないと思いますが、そのなかでも筆者が個人的に好きなのが、『ファイプロG』の「ファイティングロード」。このモードは、ひとりの若手レスラー「山下裕二(初期設定の名前)」として「若元一徹道場」に入門し、ライバルの「坂上浩一」とともに明日のメインイベンターを目指していく……いうストーリーですが、やりこめばやりこむほど唸らされる、奥深さを感じさせるものとなっています。
最初の段階で主人公の名前や生年月日、そしてアマレスや空手、柔道などのバックボーンが選択可能、「なし」や「不良」という選択肢まで存在するという芸の細かさです。この最初の設定によって主人公が使用する技やパラメーターの数字が変化する点も、マニア心をくすぐります。
この『ファイプロG』が発売された1999年といえば、前年にアントニオ猪木(敬称略)が引退し、「グレイシー柔術」や「UFC」、「プライド」などの総合格闘技が台頭した時代。プロレス業界も混沌としたムードだったのですが、このゲームはそんな空気感を見事に表現。主人公の台詞の選択や使用する技によって、所属団体やプロレスラーとしての人生も変化していくなど、今から21年前に発売されたゲームであるにもかかわらず、飽きのこない魅力を感じさせてくれます。
新型コロナウイルスの影響で「ステイホーム」が推奨されるなか、筆者は久々に『ファイヤープロレスリングG』をプレイしました。ストーリーのなかで起こる出来事や事件などは、当時のプロレス業界の流れを、ファンタジーを交えながら忠実に再現。「VIEW JAPAN」編で海外遠征後の「FWO」入り、あの「99年1・4」の橋本 VS 小川戦を彷彿とさせる「野川康哉」との抗争、その試合に向けて「ハイクラス」の「桧垣誠」から受ける特訓など、マニアにとってはなかなかに「胸熱」な展開です。