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『四角いジャングル』劇画・映画・興行のメディアミックスを成立させた「昭和」の良さ

梶原一騎氏が原作を手掛けたプロレスマンガのなかでも、『四角いジャングル』はマンガ、映画、興行のメディアミックスを1980年前後に展開、「格闘技世界一決定戦」という壮大なドラマを演出していました。

物語が進むごとに、「主人公」の影が薄くなっていき…?

梶原一騎氏原作のマンガ『四角いジャングル』第7巻(グループ・ゼロ)
梶原一騎氏原作のマンガ『四角いジャングル』第7巻(グループ・ゼロ)

 1980年2月27日、東京の蔵前国技館に1万1000人の観衆を集めで開催された、世紀の一戦『アントニオ猪木VSウィリー・ウイリアムス』。「格闘技世界一決定戦」と銘打たれ、プロレスと空手の威信をかけたこの一戦ですが、そこに至るまでの壮大な格闘ドラマを展開した作品が、1978年から1981年まで講談社の週刊少年マガジンで連載された『四角いジャングル』(作:梶原一騎 画:中城健)です。

 今でこそ、Webサイトや紙媒体、イベントなどがリンクしたメディアミックスという手法が当たり前に行われる世の中になりましたが、この『四角いジャングル』は、プロレスの世界においてもそのハシリといえるものです。

 連載当時、まだ開催前だった「猪木VSウィリー戦」へ向けて、オンタイムの週刊誌でさまざまなストーリーが紹介され、1978年には『四角いジャングル 格闘技世界一』、79年には『四角いジャングル・激突! 格闘技』、そして80年に『四角いジャングル・格闘技オリンピック』というドキュメンタリー映画が公開され、実際の興行と呼応するように物語が繰り広げられます。その内容も、数ある梶原一騎作品のなかで稀有なものかもしれません。

『四角いジャングル』が斬新だった点は、物語の前半と後半でストーリーの展開が大きく変わってしまうことです。現在もそうかもしれませんが、主人公が前半と後半で変わってしまう手法は、やはり斬新この上ないものです。

 物語の前半は空手家の「赤星潮」が主人公となり、「行方不明になった兄を探しに渡米し、兄が他流試合で敗れた全米プロ空手(マーシャルアーツ)に復讐すべく、ボクシングやプロレスなど様々な格闘技のエッセンスを習得する」という成長ストーリーなのですが、単行本5巻から始まる第2部からは、冒頭で述べたとおり「猪木VSウィリー戦」へ向けたドキュメンタリー・タッチの話が展開します。

 アントニオ猪木や、その参謀の新間寿、極真会館の大山倍達や後にUSA大山を設立する大山茂、“熊殺し”ウィリー・ウイリアムスや新格闘術の黒崎健時総帥に藤原敏男など(すべて敬称略)コク深い面々が現実とリンクする形で物語を彩っていくのですが、マンガの最初の主役である赤星潮は、時折、チョットだけ登場する通訳キャラに成り下がってしまいます。

【画像】中身も濃すぎ! な『四角いジャングル』のキャラクターたち(6枚)

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