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『四角いジャングル』劇画・映画・興行のメディアミックスを成立させた「昭和」の良さ

現実とのリンクが仇に? 圧倒的キャラ「ミスターX」の実際

メディアミックスとして展開されたドキュメンタリー映画『格闘技世界一-四角いジャングル-』
メディアミックスとして展開されたドキュメンタリー映画『格闘技世界一-四角いジャングル-』

 ちなみに赤星は、映画2作目『激突・格闘技』にも、明日を夢見る空手家として実写で登場しています(その正体は、梶原一騎の実弟にして映画の脚本を手掛け、極真空手の師範代でもあった作家の真樹日佐夫の弟子の高桑満弥です)。1981年に蔵前国技館に登場した『タイガーマスク』に先んじて、「マンガのキャラクターが実在する」という展開を見せるのですが、先に挙げた格闘技界の猛者たちのなかでは、第1部と同じように主役をつとめるのは荷が重いかもしれません。

 そうしたなかで忘れられないキャラクターであり、『四角いジャングル』を象徴する人物が、覆面空手家の「ミスターX」ですが、これがとんだ食わせ物です。

 劇画では80キロで走行するキャデラックを飛び越え、さらにはその後輪部分を軽々と持ち上げてしまう超人的な人物として描かれているのですが、実際に1979年の大阪府立体育館に登場した「X」は、「ただのデブ」だの「空手ダルマ」だの揶揄されるデクの坊。聞けば来日予定だった「本当の中身の人」が、ギャラの折り合いのトラブルで来日不能になり、急きょ立てられた代役らしいのですが、肝心の試合内容自体は酷評されるほどでもなかったように思います。

 もちろん、ペチペチと音がするような「X」のボディブローや、足が上がらないキックなどは劇画の中のキャラと大違いなのですが、改めて映像を見るとそういう相手でも試合を何とか成立させてしまうアントニオ猪木の力量はサスガです。
 
 その後の「X」に関しては劇画のなかでも「替え玉説」を展開し、大山茂師範とウィリーが「本物は暗に始末した」ことを匂わせるのですが、そんなインチキくさい結末を力技で成立させてしまうおおらかさも、当時メディアミックスを展開した『四角いジャングル』ならではのもの。今の時代、マスクマンの正体など検索すればいとも簡単に分かってしまいますが、そうしたものがファンタジーとして成立したのも、昭和の良さなのかもしれません。

(渡辺まこと)

【画像】中身も濃すぎ! な『四角いジャングル』のキャラクターたち(6枚)

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