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『相棒』水谷豊さんのデビュー作、特撮『バンパイヤ』 変身シーンが話題を呼んだ

未完で終わってしまった原作マンガ

原作マンガ『バンパイヤ』手塚治虫文庫全集(講談社)
原作マンガ『バンパイヤ』手塚治虫文庫全集(講談社)

“マンガの神さま”手塚治虫氏の原作マンガだけに、『バンパイヤ』はスケールの大きな物語でした。「虫プロ」で雑用係をしていたトッペイですが、オオカミに変身するという秘密を間久部緑郎ことロックに知られてしまいます。手塚マンガではおなじみ、サングラス姿のロックが登場することで、ストーリーは大きく動き始めます。

 動物に変身するのは、トッペイや弟のチッペイだけではありませんでした。バンパイヤ族と呼ばれる変身人間たちが、世界中に存在したのです。人間から虐げられていたバンパイヤ族の過激派グループが企んでいた「バンパイヤ革命」をロックは利用し、世界征服を画策します。トッペイはバンパイヤ族と人間との板挟みとなり、苦悩するのでした。

 やがてバンパイヤ族と人間との間に、熾烈な戦いが勃発します。両者の存亡を賭けた戦争は、1972年から連載がスタートした永井豪氏の傑作マンガ『デビルマン』につながるものを感じさせます。原作マンガは第二部の途中で終わってしまったことが残念ですが、米国では公民権運動が盛り上がっていた当時の国際情勢を反映し、また手塚氏ならではの「変身願望」をモチーフにした興味深い作品です。

特撮はやはり登竜門。怪人役でデビューしたイケメン俳優も

 デビュー作からオオカミ人間という難しい役を演じてみせた水谷さんは、1974年~75年に放映された萩原健一さんとの共演ドラマ『傷だらけの天使』(日本テレビ系)や長谷川和彦監督のデビュー作『青春の殺人者』(1976年)などでも名演技を披露し、人気俳優となっていきました。

 特撮ドラマ出身者を振り返ると、『仮面ライダークウガ』に主演したオダギリジョーさん、『仮面ライダー電王』に主演した佐藤健さん、『侍戦隊シンケンジャー』に主演した松坂桃李さん、『天装戦隊ゴセイジャー』に主演した千葉雄大さん、『仮面ライダーW』に主演した菅田将暉さん、『仮面ライダーフォーゼ』の福士蒼汰さん、吉沢亮さんなどの人気俳優が多数います。

 変わったケースとしては、綾野剛さんと唐沢寿明さんを挙げることができます。綾野さんは『仮面ライダー555』の怪人スパイダーオルフェノク役で、俳優デビューを果たしています。唐沢さんは若い頃は「東映アクションクラブ」に所属し、1984年に放映された特番『10号誕生! 仮面ライダー全員集合!!』では、ライダーマンのスーツアクターを務めたそうです。

 特撮ドラマの多くは半年や1年にわたって放送される作品が多く、若手俳優たちにとっては演技やアクション、スタッフとの接し方などをじっくりと学ぶことができる大切な場所となっています。

 これからも特撮ドラマからは、若手俳優たちが次々と羽ばたいていくことでしょう。水谷豊さんは、そんな特撮ドラマ出身俳優の先駆者だといえそうです。

(長野辰次)

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