【シャーマンキング30周年への情熱(16)】「シャーマン」とは何なのか? そのルーツを考える
『シャーマンキング』のなかで最も重要なキーワードといっていい「シャーマン」という言葉。そもそもは何を指しているのでしょうか。今回はその言葉のルーツを探り、改めて作品の世界観がもつ魅力に目を向けたいと思います。
「シャーマン」のルーツはどこにあるのか?

『シャーマンキング』の作中で登場するさまざまな用語のなかでも、シャーマンという言葉は「シャーマンファイト」「シャーマンキング」などの形で、物語の核をなす重要ワードといえます。皆さんも「シャーマン」に対してさまざまなイメージを持っていると思いますが、そのルーツについて考えた事はありますか? 今回は独自の視点で「シャーマンとは何か?」を掘り下げてみたいと思います。
「シャーマン」という言葉は、ツングース語で呪術師の意味を持つ「シャマン」が語源とされています。ツングース語というのは、現代では主にロシアと中国東北部に分布するさまざまな民族が使う言語の総称なので、何かひとつを指しているわけではありません。
このことは(たとえ近しくても)多数の民族に「呪術師という概念」が同時に存在していたことを表しています。一方で、語源になったからといって、この地域の呪術師こそがシャーマンの始祖と言える確証は今のところありません。
シャーマンとひと口に言っても、何かの霊が憑依するケースや、シャーマン自身がいわゆるトランス状態になるケースなど、さまざま種類があります。世界各地には、やり方は異なるが目的は同じ存在がいて、そこに「シャマン」という言葉が入って来た結果、いつしか彼らがそういうものだと認識されるようになった……とも考えられます。
例えば日本では「シャーマン」という言葉はあまり使いません。それに相当するのは、「巫女」や「陰陽師」、「イタコ」もそのひとつですが、とにかくバラバラです。しかし彼らをひと言で表すと「シャーマン」ということになるでしょう。
すなわち「シャーマン」とは具体的な名称というより共通の概念と言うべきで、「そういうこと」をする人たちは名前は何であれ、みんなシャーマンです。となると、やはり世界には無数に存在していると言えそうです。まさに『シャーマンキング」がまるで「シャーマン万博」のような状態になっている理由であり、その多様性を簡単に見比べることができるのは、実に楽しくありがたいことなのですね!