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【シャーマンキング30周年への情熱(42)】ペヨーテ対チョコラブの戦いに込められた作劇的な意味とは

2021年4月から放送中のTVアニメ『シャーマンキング』第20話。チョコラブの過去を振り返りつつ進んだ、土組のペヨーテ対チョコラブの戦いを、さまざまな視点から掘り下げていきます。

メキシコのシャーマン・ペヨーテについて

シャーマンファイト本戦に臨む「チーム THE・蓮」の第一戦で、チョコラブは実力を発揮するが……アニメ『シャーマンキング』20話より
シャーマンファイト本戦に臨む「チーム THE・蓮」の第一戦で、チョコラブは実力を発揮するが……アニメ『シャーマンキング』20話より

 2021年8月26日放送のTVアニメ『シャーマンキング』第20話は、チョコラブの過去話に焦点を当てた内容でした。これは彼のみならず葉たちにとっても大きな意味を持った話です。今回はそれについて掘り下げていきますが、その前に土組のペヨーテ・ディアスについて触れたいと思います。

 ペヨーテは、骨を媒介にオーバーソウルするメキシコのシャーマンです。カルロスとジョアンほか、大勢のマリアッチ仲間を持霊にしています。マリアッチとはメキシコの楽団のことで、ペヨーテはギター担当だったんでしょうね。なお彼の口癖「エレス・コレクート」はスペイン語で書くと「tu eres correcto」。英語に直すと「you are correct」となり「正解だ!」みたいな意味になります。

 彼が操るカラベラ人形のことや「死者の日」の祭りについてはアンナが劇中で説明していますが、さらに掘り下げてみましょう。

 この祭りは、死を恐怖の対象とせず明るく楽しく祝うのが特徴です。メキシコでは最も重要な風習のひとつとされていますが、20話の物語にとっても重要な要素でした。後に解説しますので、このことを覚えておいてください。

 祭りは毎年11月1日と2日に行われています。もともと古代メキシコでは死と輪廻の象徴として祖先の骸骨を身近に置く習慣がありましたが、西暦1500年代にスペインに征服された際、カトリック教会の祝日である「諸聖人の日」と「死者の日」の概念が輸入されて融合し、今の形になったといわれています。スペインのメキシコ征服は世界史で必ず勉強しますが、こういう文化の流れから見るのも面白いものです。

 ちなみにこういう祭りを開く習慣は、カトリックに限らず世界中にあります。なかには11月1日の前日を前夜祭として祝う地域もあります。前の日……つまり10月31日ですね。これを「ハロウ・イブ(Hallow Eve)」と言います。神聖な日の前夜という意味です。

 もうおわかりですよね? この言葉がなまって今では「ハロウィン(Halloween)」と呼ばれています。元はアイルランドやケルトの習慣ですが、19世紀に移民が北米でこの習慣を広めました。

【画像】『シャーマンキング』20話 思い出されるチョコラブの苦い過去(6枚)

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