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新戦隊『ドンブラザーズ』に魅了される人続出! 「意味不明」な展開でも面白いワケ

新戦隊『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』が放送開始しましたが、第2話の放送を終えた時点で、あまりの「謎めき」ぶりが話題に。敵も味方も、なぜ戦っているのかがよくわからないまま、怒涛のように展開する同作に、なぜか惹きつけられる人が続出しています。

謎すぎる敵勢力、味方も曲者ぞろいで…?

2022年3月6日から毎週日曜放送中の『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』 (C)テレビ朝日・東映AG・東映
2022年3月6日から毎週日曜放送中の『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』 (C)テレビ朝日・東映AG・東映

「やあやあやあ、祭りだ祭りだ!」

 これは、スーパー戦隊シリーズ最新作『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の主人公、ドンモモタロウの前口上ですが、まったくもってその通り。あまりにも「気になりすぎる」内容から、ネットではSNSを中心に日曜の午前中から大賑わいなのです。

 2022年3月13日に第2話が放送された時点で、その熱気はすでにフェスのように渦巻いています。今回は、そんな『ドンブラザーズ』が私たちに提示した「謎」や、現時点で明らかになっていることを整理し、今後予想される展開を考察します。

 まず、公式が明らかにしている世界観を簡単におさらいしておきましょう。モチーフは誰もが知る「桃太郎」。これはある意味、ミスリードでした。極めてシンプルな勧善懲悪物語を前振りに、相当トリッキーなことをしています。

 桃太郎モチーフでありながら、「鬼」ポジションのオニシスター(鬼頭はるか)は準主人公で本作のナビゲーター的役割に。では彼らの「敵」は何者かというと、人びとの欲望から生まれるモンスター「ヒトツ鬼」。わかりやすい「敵組織」や「敵のアジト」が用意されていないところもポイントです。

●敵でも味方でもない?第三勢力としての「脳人」

 第1話冒頭から、つい考えてしまう大人たちを釘付けにしたのが「脳人(ノート)」の存在でしょう。彼らは「ドンブラザーズ」にとって敵でも味方でもない第三勢力です。

 白倉プロデューサー曰く「世の中を平和にしたいというところだけはお互いに一致している」とのことで、実際彼らの行動原理は実にシンプル。ヒトツ鬼(となった人間)を消去するか否かです。だからこそ「感情」を持ったドンブラザーズの面々と対立してしまう展開が今後も待ち受けることでしょう。果たして彼らがどこからきたのか、その目的は何なのか。そして、演じる俳優さんがあまりにもカッコ良すぎないか……? 気になる要素でパンパンなのです。

●「マトモ人間」がいないメンバー編成?

 ドンブラザーズのメンバー編成も話題にのぼっています。まずは主人公ドンモモタロウこと桃井タロウ。普段は宅配業者で働きながらも、何かと「縁」が生じさせてしまう、戦隊シリーズのなかでもトップレベルの珍奇男です。そしてオニシスターこと鬼頭はるかは女子高生マンガ家という顔をもち、第2話時点では「盗作」の疑惑をかけられ絶賛炎上中です。

 サルブラザーの猿原真一は俳句でコーヒーの対価を払おうとする風流系無職。さらに「好きでイヌやってんじゃねえよ」でおなじみイヌブラザー・犬塚翼はなぜか指名手配で逃走中。完全な曲者ぞろいです。

 唯一、まともなサラリーマンとして描かれているキジブラザーこと雉野つよしも、アバターチェンジ後は画面からはみ出さんばかりの長身(220cm)です。このような曲者ぞろいの設定には「ひとりひとりいろいろあるけどみんなヒーローだよねというふうにしていかないと」という、白倉氏の想いが込められているとか。

 とはいえ、そもそもなぜ彼らが謎の男「桃井陣」に選ばれたのか。公式サイトの桃井陣の説明には「桃型カプセルで人間界に流れ着いたタロウを拾って育てた」とありますが「人間界」とは……いったい?

●いや、五色田介人いるじゃん!! でも『ゼンカイジャー』の介人とは違う…

 そして、何といっても介人です。前作『機界戦隊ゼンカイジャー』の主人公・五色田介人がはるかのバイト先の店長として、さも当然のごとく登場しています。しかし、この介人、『ゼンカイジャー』の介人とは性格が真逆です。寡黙でクール。「全力全開」とは縁遠い男なのです。しかも「ゼンカイザーブラック」に変身することが公式で明かされており、世界交錯の展開を期待する声も多く見られます。

 ということで、第2話放送時点において「明かされたこと」と「さらに謎めいたこと」を整理してきました。白倉氏は「テキストで読んだら『はあ?』でも、ビジュアルで視ると『ああ!』となる」とおっしゃっていますが、正直のところ「ああ!」となってない方もまた多いかもしれません。

 しかし、『ドンブラザーズ』がめちゃくちゃ面白いのは事実。映像演出の恐ろしいほどのテンポ感と、井上敏樹氏による独特のセリフ回しから織りなす脚本の妙。「もう、わけわかんねえ…」とこぼすオニシスターの混乱は、まさしく私たち視聴者の気持ちを代弁してくれているもの。安心して「混乱」できる、だからこそ楽しめる……そんな傑作になる気がしてなりません。

 なお、ドンブラザーズは『鬼滅の刃』がモチーフではないかという説は、全くのウソだそうです。

(片野)

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