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50周年の『サンダーマスク』 いまだ正当な評価がされず「封印作品」と呼ばれる理由

『サンダーマスク』が見られなくなってしまった理由とは?

手塚治虫先生のコミカライズ版『サンダーマスク』1巻(手塚プロダクション)
手塚治虫先生のコミカライズ版『サンダーマスク』1巻(手塚プロダクション)

『サンダーマスク』がマイナー作品となった理由。それは現在では視聴困難だからです。そこには「版権問題」という複雑な事情がありました。

 本作の制作にクレジットされているのは、前述の『魔神ガロン』を制作した虫プロダクションから生まれたひろみプロダクション、広告会社の東洋エージェンシー(現在の創通)。この東洋が、放送終了後にひろみプロダクションからマスターを引き上げてしまったそうです。

 それでも『サンダーマスク』は何度か再放送されました。1980年代前半くらいまではローカル局でも放送され、その時にビデオ録画した人もいるでしょう。また、ファンには有名な話として、1994年に中京テレビの『今甦る!昭和ヒーロー列伝』という番組で、第1話、第13話、第26話の3本が放送されました。

 しかしこの放送以降、残念ながら『サンダーマスク』は我々の前から姿を消します。この理由に関して、マスターも持つ創通のコメントも「マスターは状態が悪い」、「ネガならある」、「すべて存在しない」と話が二転三転して要領を得ません。

 これは年月が経ったことで『サンダーマスク』の版権が分散し、それぞれの権利と利害が一致しないことで、マスターを持つ創通の一存では放送もソフト化もできないからだと言われています。現状ではリスクを考えると手をつけたくないという、二度と見ることのできない封印作品になってしまいました。

 そのため、前述の特番でさえ28年前、TV局の再放送では40年ほど見ることができない作品となっています。これに加えて本作後半のスチールはほとんど流通しておらず、関連書籍でも後半の魔獣は写真でなくデザイン画となっていました。こういった事情から本作のマイナー化が進み、後年のファンが作品に触れることができない状態になってしまったのです。

 また、認知度の低さゆえに、本作を面白おかしく伝播する人もいました。「第19話に登場する魔獣シンナーマンの描写がヤバいから封印された」「第21話に登場する魔獣ゲンシロンの出身が東海村だから放送できない」、さらに版権管理があやふやな時期は「手塚先生自らが商品化にNGを出している」……というデマまで流れました。

 情報が少ないゆえに、こういった流言飛語が後を絶ちません。当時の人気を知る筆者としては複雑な思いです。

 今回、執筆のために1980年代に録画した『サンダーマスク』を何話か見ましたが、やはり面白かったです。等身大と巨大化というふた通りで戦うサンダーマスクは、現在になっても他に類を見ない独創的なヒーローでした。また、敵の魔獣も造形とデザイン両方が素晴らしく、動いて暴れ回る姿を今の高画質で見たいと思ってしまいます。

「封印作品」などとレッテルを張るから奇異の目で見られてしまいますが、『サンダーマスク』は正統なヒーロー作品としてもっと評価されるべきでしょう。その雄姿を、筆者は生きているうちにまた見たいと思います。1万年も眠らせてはいけない作品ではないでしょうか?

(加々美利治)

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