ヒーローショー出身の『レッドタイガー』 特撮暗黒期を救った影のヒーロー
低予算でもスタッフは頑張った

『レッドタイガー』のスタッフは敏腕ぞろいです。なんといってもレッドタイガーのスーツアクターが、仮面ライダーシリーズのメインを努めた中屋敷鉄也さんだったため、TV映えしました。しかも、レッドタイガーの声は特撮での仕事が初めてという古谷徹さん(※途中降板)です。脚本にはウルトラシリーズや数々の特撮、ドラマも執筆している大御所、長坂秀佳、上原正三の両先生をメインに据えていました。さらに、OP・EDソングはささきいさおさんが歌っています。
あらすじは……「日本防衛研究所の天野博士が建造した巨大ロボット要塞・ランボルジャイアント。このロボットを奪おうと襲いかかるブラックデンジャー魔王率いるUFO軍団との戦い。天野博士の3人の子供たちがピンチに陥ると、謎のヒーロー・レッドタイガーが出現し敵を倒す。彼らを助けてくれるヒーロー・レッドタイガーとは何者なのか?……」というものです。
内容もなかなか凝っていました。天野兄弟&レッドタイガーとUFO軍団の戦いに加え、「消えた天野兄弟の母親捜索」とランボルジャイアントの完成までの「謎解き」が作品全体のポイントでした。
天野3兄弟がピンチになり、「レッドタイガー!」と叫ぶとヒーローが登場します。「弱き者、正しき者の味方! レッドタイガー!」という決めゼリフもハマっていました。ヒーローは主役が変身するのが普通ですが、レッドタイガーは正体が誰なのか分からないままストーリーが進行します。
最終的には、レッドタイガーは15年前にバーン星人に連れ去られた天野兄弟の長男・銀河ということが判明しますが、銀河の素顔は最後まで明かされません。レッドタイガーは、最初は白のコスチュームですが、怒りが頂点に達すると「レッド変身スパーク!」と叫び赤コスチュームに変わるという、2段階の演出も見どころでした。電磁ムチで戦闘員を打ち「タ」「イ」「ガ」「ー」の人文字にする必殺技「タイガー人文字殺法」のほか、あっちむいてホイで敵を倒す「あっちむいてホイ殺法」もなかなかユニークです。
ただ、番組はかなりの低予算だったため、チープさが出てしまった部分もありました。レッドタイガーのマスクはアメフトのヘルメットにゴーグルを付けたようなデザインで、口元、アゴは出ているライダーマンのような姿です。
また「巨大ロボット要塞・ランボルジャイアント」は全高100m、5万tの設定ですが、二の腕部分が細く、二足歩行ではなく車輪で移動するなど、正直重厚感に欠けるおもちゃのようで、壊される街のセットなども低予算であることが伝わりました。しかし、厳しい状況ながら、特にアクションシーンはカメラワークも含めてダイナミックで、スタッフが愛情を込め丁寧に作り込んでいたことが伝わってきます。
番組は3か月ごとに放送時間が変わるという異例の形式(土曜18時から30分、火曜19時30分から30分、木曜19時30分から30分)で9か月間も続き、1978年12月28日に39話で終了します。実は、戦隊シリーズの復活が決まっていたため、「お役御免」だったようです。
東京12チャンネルはネット局が少なく、さらに再放送も少ない上に、DVD化もされていないため、同番組を見た人は貴重かもしれません。子供向け雑誌に情報が掲載されていましたが、「番組は見たことがない」という人もたくさんいました。しかし、特撮暗黒期をつないだ『UFO大戦争 戦え! レッドタイガー』の功績は高かったと思われ、特撮ファンのあいだでは「幻のヒーロー」とも言われているそうです。
そして、放送終了後の1979年正月の「後楽園ゆうえんち」では、複数のヒーローがコラボ出演する「スーパーヒーロー大集合」の始まりとなる「せいぞろい 帰ってきたスーパーヒーロー」が行われます。『秘密戦隊ゴレンジャー』『仮面ライダーストロンガー』といったメジャー作品が並ぶなか、メインは「レッドタイガー」でした。なんとも胸が熱くなるエピソードです。
(石原久稔)





