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42年ぶり再放送の『未来少年コナン』 脇役たちも輝かせた、宮崎駿監督のスゴ腕演出

半年にわたる演出で、輝いた脇役たち

『未来少年コナン』に登場し、空中要塞とも呼ばれた「ギガント」 (C)NIPPON ANIMATION CO.,LTD.
『未来少年コナン』に登場し、空中要塞とも呼ばれた「ギガント」 (C)NIPPON ANIMATION CO.,LTD.

 コナンの人間離れした身体能力とコナンを信じ続けるラナの健気さは『未来少年コナン』の大きな魅力ですが、それ以上に印象に残ったのが、味のあるバイプレイヤーたちでした。コナンの初めての仲間となるジムシィ(CV:青木和代)、ラナを連れ去るモンスリー女史(CV:吉田理保子)、バラクーダ号を操るダイス船長(CV:永井一郎)たちも個性が強く、物語の脇役であることを感じさせません。

 なかでも、ひときわ人間臭いキャラクターで存在感を放ったのがダイス船長です。彼は品行方正な人間ではありませんが、インダストリアを牛耳るレプカ(CV:家弓家正)を嫌っています。社会のシステムからはみ出した、アウトロー的存在です。『天空の城ラピュタ』の空中海賊ドーラ的な役割を担っており、次第にコナンに協力するようになっていきます。

 半年間の放送期間中に大きくキャラクターが変わったのは、ダイス船長とは犬猿の仲だったモンスリーです。世界を滅亡に導いた旧世界の大人たちを憎み、レプカの命令に忠実に従っていました。ですが、ラナが育った島・ハイハーバーで人間らしい生活を体験し、考え方を改めます。

 シリーズ序盤は無愛想だったモンスリーが、終盤ではとても優しい表情を見せるようになります。高畑監督の代表作『赤毛のアン』(フジテレビ系)と同様、TVシリーズならではの素晴らしい演出でした。

航空機&ミリタリーマニアとしての偏愛ぶり

 モンスリーが変心するきっかけとなるハイハーバーは、ディストピアとして描かれたインダストリアとは対照的な牧歌的な集落です。豊かな自然に恵まれ、村人たちの多くは農作業や家内制手工業に従事しながら、穏やかに暮らしています。宮崎監督が憧れる「ユートピア」そのものではないでしょうか。

 そして、『未来少年コナン』のクライマックスを飾ったのが、インダストリアから飛び立った巨大爆撃機ギガント上での攻防です。航空機&ミリタリーマニアである宮崎監督の偏愛ぶりが炸裂した、アニメ史に残る名シーンです。ギガントを操るレプカを追って、コナンたちは何と高度上空を飛ぶギガントの翼の上を疾走します。このシーンを見た時のドキドキ感は、今も忘れられません。

 新型コロナウイルスの影響で、放送が予定されていた新作アニメや新作ドラマの多くが放送延期となっています。もちろん新しい作品づくりはとても大事ですが、『未来少年コナン』の再放送は天才アニメーター・宮崎監督の演出手腕に改めて触れる絶好のチャンスではないでしょうか。

『ルパン三世』第1シリーズ、『機動戦士ガンダム』、『新世紀エヴァンゲリオン』(テレビ東京系)も、テレビでの初放映時は低視聴率だったものの、何度も再放送されることで名作としての評価を得るようになりました。自宅で過ごす時間の多いこの機会に、過去の名作が再評価されるようになればいいなと思います。

(長野辰次)

【画像】最初は嫌な奴だったのに…『未来少年コナン』で大きく変貌したキャラクターたち(5枚)

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