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【シャーマンキング30周年への情熱(28)】ヒロイン・恐山アンナの「ブレない」役割

2021年4月1日より、テレビ東京系列でTVアニメ『シャーマンキング』が放送開始します。原作マンガの物語を「描き切る」新作アニメという点で大きな注目を集めています。同作のヒロイン・恐山アンナは、作品のなかで重要な役割を担い、異色の主人公・麻倉葉とは違った魅力で読者を惹きつけています。

恐山アンナは「理想の上司」…?

恐山アンナが描かれた『SHAMAN KING KC完結版』14巻(講談社)
恐山アンナが描かれた『SHAMAN KING KC完結版』14巻(講談社)

 完全新作テレビアニメの放送が、いよいよ2021年4月1日(木)に迫ってきました。そこで改めて『シャーマンキング』の魅力に迫りたいと思います。前回は主人公・麻倉葉に注目して、主人公と周囲の性格づけがバトル作品の定番とは逆になっている点、それがシャーマンを題材とする同作ならではのものであると考察しました。

 今回は、何かと「ユルい」と言われる主人公とは対称的な、厳しすぎるヒロイン・恐山(きょうやま)アンナについて紐解いてみたいと思います。

 アンナは、終始ブレることのない絶対的な存在として描かれています。「シャーマンキングの妻になる」「麻倉葉をシャーマンキングにする」「そして楽な生活をする」という明確な信念があり、葉がその条件を満たしていないと感じると、容赦なく修行を課すなどしてそこに向かわせます。このような鬼嫁タイプのヒロインは珍しくありませんが、アンナほど徹底しているケースはあまりないかもしれません。

 アンナに限らず、武井先生の描く女性には芯の強いキャラクターが多いのですが、アンナは別格で、首尾一貫して言動がブレません。そういう強さに当時の読者は憧れ、同年代の友達というよりは、厳しいながらも自分を導く存在……理想の上司とか親とか、そういう位置づけとして受け止めていた人が多かったように思います。

 ところで当時、武井先生はある種の「スターシステム」を取り入れていました。スターシステムというのは、キャラクターを役者としてとらえる考え方で、同じ俳優が世界観も設定も異なるさまざまなドラマに違う役で登場しているようなものです。古くは手塚治虫先生が積極的に取り入れていました。

 恐山アンナは、読み切りマンガ『ITAKOのANNA』以来、武井先生にとって重要なキャラとなり、連載デビュー作『仏ゾーン』にも登場し、満を持して『シャーマンキング』に登場しています。
 
 しかも、メインヒロインとなればその存在感はとても大きいわけですが、では本作での彼女がなぜ厳しい性格なのか、彼女に与えられた役割とは一体何なのかを考えてみます(なお、物語が進むにつれ、本作のアンナはスターシステムによる存在ではないことが明確になりました)。

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タシロハヤト

美少女ゲームブランド「âge(アージュ)」の創立メンバーで、長らくシナリオ、演出、監督等を務める。代表作は「君が望む永遠」シリーズ、「マブラヴ」シリーズ。現在はフリーで活動中。『シャーマンキング』の作者、武井宏之氏と旧知の関係である縁から、同作の20周年企画に参加している。
https://twitter.com/tamwoo_k