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【シャーマンキング30周年への情熱(33)】ファウストVIII世との戦いから麻倉葉が学んだこととは?

2021年4月から放送中のTVアニメ『シャーマンキング』第7話では、主人公の麻倉葉とネクロマンサー・ファウストVIII世との戦いが描かれました。その戦いを通じて明らかになった麻倉葉の生い立ちや、彼が学んだことについて掘り下げていきます。

互いに「暗い過去」を背負う者同士の戦い

シャーマンファイト予選で葉と対戦した、ファウストVIII世。アニメ『シャーマンキング』第7話より
シャーマンファイト予選で葉と対戦した、ファウストVIII世。アニメ『シャーマンキング』第7話より

 昨日2021年5月13日放送のTVアニメ『シャーマンキング』第7話では、主人公・麻倉葉とファウストVIII世との戦いが描かれました。そこでは葉の意外な一面を見ることができました。ファウストによって小山田まん太が傷つけられたことでブチギレたのです。

 シャーマンファイト参加のため上京する以前、出雲にいた頃の葉は、友達がいなかったようです。彼のシャーマン能力が”異能力”として人びとから恐れられたからなのですが、このあたりのエピソードは単行本『シャーマンキング ZERO』1巻(講談社)でも描かれています。

 ただ話は単純ではなく、葉自身も友達を求めておらず、そのため機会を失っていた可能性があります。東京に来てからもそのつもりだったのかもしれません。しかし上京した直後、矢継ぎ早に多くの偶然が重なって、心に大きな変化が生まれました。そのキーパーソンが、まん太です。

 ここで言う偶然とは、葉がなんの気まぐれか、まん太に墓場で声をかけたことから始まり、まん太が霊の視える人間だったこと、まん太も心の隙間を何かで埋めたいと無意識で思っていて葉に関わったこと、まん太が木刀の竜に襲われたこと、阿弥陀丸が竜に侮辱されて怒っていたこと、阿弥陀丸が最強の侍だったこと……です。

 これらが積み重なった結果、葉は阿弥陀丸と憑依合体してまん太と阿弥陀丸の仇を討つに至りました。そして彼の生活は、出雲時代とまったく違うスタートを切ったのです。

 それ以後も、葉が東京での生活を思い出すとき、ほとんどの場面にまん太の姿があります。それは未体験の楽しい時間だったことでしょう。ですから葉にとってまん太は唯一無二と表現するにふさわしい存在で、「初めて出会った人間の友達」なのです。そんなまん太がファウストに傷つけられたとあれば、暴走するのはやむを得ません。

 一方、ファウストVIII世も大きな悲哀を背負っていました。幼少期からエリザへの愛を貫いてきた彼は、やっと手に入れた幸福の絶頂で地獄に突き落とされたのです。愛する人を失い、その復活に全てを懸ける男……その様子は、ライトノベル『SHAMAN KING FAUST8』(講談社)で詳細に描かれています。

 ところで劇中におけるファウストVIII世の祖先はシャーマンで、500年前のシャーマンファイトに参加していた上、その能力を書物に残していた……それが死体蘇生術(ネクロマンシー)なのですが、ファウストI世は諸説あるものの実在していたと言われています。少しそのあたりを掘り下げてみましょう。

【画像】『シャーマンキング』第7話、ファウストの狂気に立ち向かう葉は…

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タシロハヤト

美少女ゲームブランド「âge(アージュ)」の創立メンバーで、長らくシナリオ、演出、監督等を務める。代表作は「君が望む永遠」シリーズ、「マブラヴ」シリーズ。現在はフリーで活動中。『シャーマンキング』の作者、武井宏之氏と旧知の関係である縁から、同作の20周年企画に参加している。
https://twitter.com/tamwoo_k