【シャーマンキング30周年への情熱(44)】シャーマンの強さを決める「思い」の残酷さ
ファウストVIII世はいかにして「メフィスト・E」に到達したか?

ところで今回、「思いひとつ」を強烈に体現していたのがファウストVIII世でした。彼はエリザに会いたいという「純愛」を貫き続けており、その結果として狂気と猟奇の世界に足を踏み入れてしまった人物ですが、現時点での思いの集大成が「メフィスト・E」と言えるでしょう。
彼の先祖、ヨハン・ファウストが契約した大悪魔メフィストフェレスについては、本連載の第33回でも触れていますが、ここで補足をするなら、ファウストはメフィストフェレスの実在を確信していたわけではないようです。ただヨハンは強い思いによって、大悪魔と呼ぶにふさわしいもの凄い存在、もしくは強い力を手に入れたと考えています。
つまりファウストVIII世は、先祖の研究を引き継ぐことで単純にメフィストフェレスが手に入るわけでないことに気づき、「強い思いがあれば(エリザと会うために役立つ)凄い力が手に入る」という、シャーマンとしてのヨハンの生きざま、シャーマンの強さの原理を学んだのではないかと思います。
強い思いを抱くことは、もともと一途な彼にとっては簡単なことで、これにより独学とはいえ、彼は自分の能力をますます高めていけたのではないでしょうか。そしてアンナから「超・占事略決」を学んだことで、「メフィスト・E」という究極の愛の形に到達した……と筆者は考えます。今後、彼がさらにシャーマン能力を高めることでエリザへの愛の表現がどうなっていくのか、見守りたいと思います。
さて、もちろん竜も葉も、それぞれの思いの強さを形に表していたのですが、やはり葉のそれはレベルが違いましたね。また彼の「ユルい」性格が巫力の使い方にまで現れるというのは、あまり意識していませんでしたが、言われればその通りです。「柔よく剛を制す」という、柔道でよく使われる言葉がありますが、ああいったことが巫力の世界にもあるというわけですね。
しかし葉がユルいのは、別に巫力を上手く使うためではなく、元はその方が楽だからという単純な理由だったことを皆さんならご存じだと思います。しかしそういう生きざまが結果としてシャーマン能力の高さ、そして強さに直結しているという状態を見るに、葉はさすがハオの双子、運命に導かれた存在だと言えるのかもしれません。
一方、ハオは蓮を誘惑していましたが、そういう駆け引きが今後どうなっていくのかも注目ですね!
それでは今回はこの辺で。また次回よろしくお願いします!
(タシロハヤト)