【シャーマンキング30周年への情熱(48)】小さな「設定」に込められた、アニメ化の「大きな目的」とは?
2021年4月から放送中のTVアニメ『シャーマンキング』第29話で、カンナの持霊アシュクロフトの設定があいまいになっているのは、制作時に掲げた大きな目的のためでした。このほか、ゴーレムを呼ぶためセイラームが唱えた呪文についても解説します。
今回のアニメ制作で掲げられた「大きな目的」

2021年10月28日(木)放送のTVアニメ『シャーマンキング』第29話は、ハオ一味の花組と道 潤(タオジュン)らとの戦いが描かれました。前回の記事で、原作とアニメでは花組のカンナが操るエクトプラズムとアシュクロフトの表現が「一部ぼかされている」と述べましたが、気付いたでしょうか?
原作では、アシュクロフトがオーバーソウルするための媒介は、カンナが吸うタバコの煙でした。煙は「そこにあって触れるけれどつかめない」ものです。そのため誰もアシュクロフトをとらえられません。厄介さでいえば、空気を媒介とするハオの持霊スピリット・オブ・ファイアと同じぐらいではないでしょうか。
一方アニメのカンナがくわえているのはタバコではなくピンクのスティックです。そのため、煙が媒介であるということは言っているのですが、その”煙”が何を指すかがぼやけており、もしかしたらカンナが吐き出すエクトプラズムのことだと思った人がいたかもしれませんね。
これはギリギリの判断だったと筆者は考えています。時代的に喫煙も飲酒も好ましい表現とはされていませんが、深夜枠なら不可能ではありません。ただ、それはできない選択でした。このアニメは子供に向けて作ろうとしていたからです。『シャーマンキング』を次の世代に引き渡すためには必要なことでした。
また、今作は原作マンガを知らない方にも向けています。これも、作品の認知度をさらに上げたいという思いです。このふたつは特に大きな目的でした。
当時、表現の方法について関係する方々で話し合ったのを覚えていますが、木刀の竜と違い、カンナのタバコは能力に紐づいているため、「原作に忠実にしたい」という気持ちは誰もが持っていました。しかし「目的達成」と天秤にかける必要があったわけです。
筆者もこの連載では基本的に、原作を読んだことがなく、アニメから入った人にも補足的な情報を伝え、記事を通して原作への興味を持ってもらいたいと考えており、そのために試行錯誤しています。そういったことから考えていくと、カンナの表現はギリギリを攻めていると感じるのです。
なお、カンナの能力については「月刊なかよし」に連載中のスピンオフ作品『SHAMAN KING &a garden(漫画:鵺澤 京)』でも描かれています。これは花組の過去を描いた物語で、意外な内容も読むことができます。興味のある方はぜひご覧ください!



