【シャーマンキング30周年への情熱(58)】「シャーマン」が普通の人間より強いのは本当か?
なぜハオ組は深い絶望を抱いてしまったのか?
では次に、前回の記事で予告していた葉賢との戦いについて解説します。ここでは「いつ誰が何を」を整理しておくと良いでしょう。麻倉葉賢は麻倉葉王の子孫で、500年前のシャーマンファイトではパッチに転生したハオを倒した人物です。その時の持霊はマタムネで、「恐山ル・ヴォワール」編でマタムネが悔いていたのは葉賢とともにハオを倒したことです。
その後、経緯は不明ですが葉賢は地獄で戦いに明け暮れ、まだ500年前の時間感覚でいたところに葉がやって来たというわけです。マタムネはすでにそこにいないため、葉賢のオーバーソウルは彼ひとりの想いで生み出されたものです。
では最後に、ペヨーテが裏切った理由について掘り下げてみます。ハオが「他人の心が読める能力」を隠していたことがペヨーテやハオ組の者たちを絶望させたわけですが、そうは言ってもボスが部下に手の内をすべて明かさないのはよくあることです。
それがそんなにショックだったのか……こう思う方もいるかもしれません。しかし彼らの境遇を考えれば無理もない話です。不可解な能力を持っていたばかりに人びとから迫害されたり、紛争地域の国に生まれたばかりに死と隣り合わせの毎日を送っていたりしていた彼らは、人間を信頼することに臆病で、相手のすべてを知らないと安心できません。隠し事や嘘などあってはならないことだと考えることもあります。
そんな、「0か1」しかない彼らがハオを信頼するということは、ハオが何もかもさらけ出してくれていると思い込んでいた証拠です。それが嘘だとなれば、足元を支えていた地面がなくなるのと同じようなショックを受ける……という点は理解できる気がします。
それでも花組はまだ冷静で、ハオに直接事実を確かめようとしますが、それが仇となり、ハオに魂を食わせろと迫られて嘘を嘘だと理解してしまうのでした。これが地獄での出来事だったら、彼女たちの魂は「負けてしまう想いの力」が強すぎて消滅していたかもしれません。
なお花組の3人の過去は「なかよし」に連載中の外伝『SHAMAN KING &a garden』で描かれていますので、興味のある方はぜひご覧ください。
それにしても、物語も残すところ10話を切り、毎回が見どころ満載の展開になること間違いなしですね! それでは今回はこの辺で。またよろしくお願いします!
(タシロハヤト)