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悲劇! 途中退場した「昭和ウルトラマン」のヒロインたち 背景に「テコ入れ」や契約が

『ウルトラマンA』のもうひとりの主人公だった南夕子。しかし、人気低迷から脱却するためのテコ入れの一環として、途中退場することとなります。実は昭和のウルトラシリーズでは、ヒロインでも容赦なく途中退場することがありました。

『ウルトラマンA』で途中退場した悲劇のヒロイン「南夕子」

男女合体による変身が視聴者を驚かせた、『ウルトラマンA 1972』DVD(ジェネオンエンタテインメント)
男女合体による変身が視聴者を驚かせた、『ウルトラマンA 1972』DVD(ジェネオンエンタテインメント)

 本日10月13日は、50年前の1972年に『ウルトラマンA』第28話「さようなら夕子よ、月の妹よ」が放映された日です。この話で、それまで北斗星司と合体変身することでウルトラマンAになっていた、もうひとりの主役である南夕子が番組から姿を消しました。

 第2期ウルトラシリーズ第2作目の本作は、前作『帰ってきたウルトラマン』の後番組として製作されています。前作『帰ってきた』が比較的オーソドックスな作品だったことからか、本作『A』はさまざまな新しい試みをされていました。そのひとつが星司と夕子による男女合体変身です。

 こうして鳴り物入りでスタートした本作でしたが、視聴率では前作より苦戦しました。その理由のひとつが、裏番組である同じく特撮ヒーロー番組の『変身忍者 嵐』の存在だったと言われています。この他にもスポンサーである玩具会社「ブルマァク」で発売していたソフビ人形の売れ行きが良くなかったこともマイナス要因にされていました。

 ほかにもいくつか理由がありましたが、こういった不振から本作は大きなテコ入れが行われることになります。そのテコ入れのひとつとして夕子を降板させ、従来のシリーズ通りに星司がひとりでエースに変身するようになりました。

 本作の要でもあった男女合体変身を止めるということには、いくつかの理由があったそうです。「子供が合体変身だとゴッコ遊びに取り入れづらい」「ヒーローとして弱弱しく見える」という意見のほかにも、ストーリー展開上、星司と夕子それぞれのドラマを別々に書くのがむずかしい……という脚本面での問題もありました。これにはメインライターだった市川森一さんが一度、本作から抜けたことも大きな理由だったかもしれません。

 このふたりの主人公を描くむずかしさは、バディもの特有のものでしょう。現在では過去の作品からの蓄積したデータがいくつかありますが、当時はまだ過渡期でした。そして、男女バディものという部分にもむずかしさがあったと思います。

 バディもの定番の仲違いから信頼が築かれるという展開も男女では恋愛要素抜きではむずかしく、本作のテーマからすれば直接的な恋愛要素は避けるべきものでした。こう振り返ってみると、本作の男女合体は先鋭的な試みでしたが、それゆえにふたを開けると問題は山積だったわけです。

 結果、夕子は月星人だったという超展開により退場しました。もしも、夕子が退場することなく作品が完結を迎えていれば、その後のウルトラシリーズは大きく変わっていたかもしれません。そう考えると、夕子の退場劇は以降のウルトラシリーズの分岐点といえるほどの大事件でした。

 余談ですが、夕子役は当初は第7話でゲスト出演した関かおりさんが演じる予定で撮影も進んでいましたが、足を骨折したために降板。そこで星光子さんが代わりとして夕子役を引き継いだという逸話がありました。

【画像】もっと見ていたかった! ウルトラ作品で途中退場したヒロインたち(3枚)

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