FC版『ウィザードリィ』を「最弱冒険者」でプレイ 苦闘の果てに「一攫千金」を達成?
1981年に発売され、その後のRPGに多大な影響を与えたダンジョンRPG『ウィザードリィ』。必要最小限の描写ながら、ブラックユーモアも交えた特徴的なメッセージが印象的な迷宮を進む作品です。物語を自分で作り出す名作RPGのファミコン版に、「最弱冒険者」で挑みました。
「才能もない若者が無謀な冒険に出る」という設定

『ウィザードリィ』は、もともと1981年に発売された米国製のダンジョンRPGで、1987年にファミコン向けに発売されると、多くの子供たちが冒険に熱中しました。物語は「魔法使いワードナに奪われた魔除けを取り戻すために、狂王トレボーが集めた冒険者となって、ワードナ討伐のために罠や魔物に満ちた迷宮を攻略する」というものです。
キャラクターのレベル上限が事実上存在せず、強いアイテムは魔物を倒した時の宝箱(ほぼ罠がかかっている)から入手する……というゲームシステムで、キャラクターの転職も可能であることから、好みのキャラクターをいつまでも育成できます。
用意されたストーリーがシンプルなこと、キャラクターが死んだ際に蘇生が失敗すると消滅する「ロスト」もあることから、冒険の始まりと終わりが感じられ、「冒険の物語を自分のなかで作っていく」雰囲気があります。筆者はパソコン版とファミコン版の双方でレベル1000くらいまで育てたものです(ゲームのクリア自体はレベル13程度で可能です)。
その名作を、久しぶりにファミコン版でプレイしました。普通のプレイはやりつくした作品ですので「ロールプレイが楽しくなる制限プレイ」で進めたいと思います。そのコンセプトは「リアリティ」。後ほど詳しく説明していきます。
最も低い能力のキャラを揃えたら…「回復役」がいない?

まずはキャラメイク。ファミコン版『ウィザードリィ』では、人間、エルフ、ドワーフ、ホビット、ノームの5種族を選べますが、今回は全員人間とします。理由は「一番弱いから」(人間は能力値合計46、最強のホビットは50)です。
ヒリヒリするような厳しい冒険がしたいので、キャラクターの能力値に割り振れるボーナスポイントも最低の「5」限定としました。ボーナス5ポイントでキャラメイクして気づいたのですが、人間の初期「信仰心」は5で、ボーナスを全てつぎ込んでも、僧侶になれる「11」を満たしません。つまり、パーティの回復役は「なし」ということになります。
全く才能がないのに、無謀な冒険に出ようとする若者に敬虔さなどあるわけがないので、僧侶がいないのは、むしろそれらしく感じます。きっと村で食い詰めて、一旗揚げようと集まってきた農民とか占い師のたぐいなのでしょう。そんな輩(やから)がまともな倫理観を持っていると思えないので、属性は全員「悪」(ただし『ウィザードリィ』の属性「悪」とは、「利益がなければ人を助けない」という程度で、邪悪ではないようです)。
パーティ構成と名前は「戦士ルディ、戦士ローザス、戦士フランカ、盗賊ミッシャ、魔法使いリアナ、魔法使いアレクセイ」としました。『ウィザードリィ』がTRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』をコンピューター化しようとして生まれたというコンセプトに敬意を示して、今回は筆者がゲームマスターとして、長年プレイしているTRPGキャンペーンでのキャラクター名を付けました。生き残ってくれるといいのですが。
今回の冒険は「リアリティ重視」。『ウィザードリィ』と言えば、訓練場で適当なキャラクターを作り、酒場で使うキャラクターにお金を渡してからキャラクター削除、という追いはぎプレイが行われるものですが、リアリティ重視なので、それは禁止。つまり、もの凄くお金がありません。
属性「悪」の冒険者が、他人を信じて自分のお金を渡すわけがないので「お金を集める」も禁止。各人が冒険で得たお金以外で、アイテム購入はできないこととします。『ウィザードリィ』は前衛3人が死なない限り、後衛3人は直接攻撃を受けないので、後衛には装備があまり必要ないのですが、ここもリアリティ重視なので、全員装備を固めます。
ちなみに、ファミコン版は、ソフトのバグで防具のAC(アーマークラス。敵の攻撃命中率を下げます)低下効果が全く機能していないので、実は防具自体がほぼ不要なのですが、リアリティ重視なので、防具も付けます。「かわのよろい」など、貧相なものですが。
戦士ルディは初期の所持金が少なくて、剣すら買えずメイスで済ませます。本当に大丈夫かな……と思いますが、とりあえず冒険に出発です。