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『仮面ライダー』ショッカーの正体は日本政府←ウソです なぜ誤情報が広まったのか

実は風評被害を受けていたのはショッカーだった

「S.H.Figuarts ショッカー戦闘員(骨)」(BANDAI SPIRITS) (C)石森プロ・東映
「S.H.Figuarts ショッカー戦闘員(骨)」(BANDAI SPIRITS) (C)石森プロ・東映

 10月計画とは、通常の10分の1の価格で10倍の性能を持つ電化製品を売り、そこから発生させた命令電波で人々をコントロールしようというものです。

 そしてビッグマシンは、「・・・・この計画はもともとおまえたちの政府がはじめたものだよ!」と仮面ライダーに暴露します。日本政府は国民の全てを番号で管理する「コード制」を計画しており、これをショッカーが自分たちの都合のいいように利用しただけなのですが、ビッグマシンの言い回しもあってか、この部分をもって「ショッカーは日本政府」という誤解が生まれたと見られます。

 誤解した人の立場に立って考えれば、萬画版『仮面ライダー』を見た子供時代なら理解できなくて当然だったかもしれません。「日本政府とショッカーはグルだった」と思い違いをしたまま、大人になった時におぼろげな記憶で思い出したのでしょう。誰もがしてしまうだろう過ちです。

 問題は、その過ちのまま情報を拡散することでしょう。SNSが普及した近年では、誤りのまま情報が拡散することは多々あります。こういった現代ならではのデマが拡散しやすい状況が、誤情報を信じ込ませる土壌なのでしょう。

 もちろんそれだけでない要因もありました。1990年代末くらいに出版された書籍で「ショッカーの黒幕は日本政府」と記載されたものがいくつか発行されています。マンガやアニメの豆知識本が乱発された時期でした。当時はインターネットより、こういった書籍で誤情報が拡散した時期でもありました。

 私もこういった書籍を執筆したことがあり、出版社によっては版元の監修を受けず、すべて執筆者の自己判断で情報を精査させます。そういった編集方針が、気付かないまま誤情報を拡散したのでしょう。

 単純に萬画版『仮面ライダー』を読めば理解できる話でも、記憶だけなら誤ったままというわけです。それに加え、近年ならではの誤情報拡散の原因も別にあるかもしれません。これに関して考察してみましょう。

 もともとビッグマシンのセリフにあった日本政府の案は、フィクションではなく現実にありました。それが1970年に研究を開始した「省庁統一個人コード」です。この時、翌年の1971年末までには全国民にこれを付与する予定でした。もっとも議論は途中で立ち消えとなります。

 このことを風刺したのが石ノ森先生でした。萬画版が発表されたのは、ちょうど1971年末です。そして、この制度が名前を変えて実施されたことを後に私たちは知ることとなりました。現在の「マイナンバー」です。

 マイナンバー運用開始以前にもあったのでしょうが、運用開始以降は、ビッグマシンのセリフ切り取りが目立つようになりました。現実にあった出来事だけに、引用されると以前より目立つようになったという方が正しいかもしれません。

 そして、映像と違って目につく機会の少ない萬画版というジャンルが、偽りを本当のように思わせているわけです。何よりもショッカーという組織の知名度を考えると、そのインパクトは絶大といえるでしょう。つまりショッカーにとっては風評被害のようなものかもしれません。

 近年では気軽にネットで情報を入手できますが、うかつに信用すると思わぬ間違いをつかまされることになります。できれば情報は、原典にまでさかのぼって目を通したほうがいいかもしれません。

(加々美利治)

【ショッカー許すまじ】こちらが幼児やいたいけな少女までショッカー戦闘員に仕立て上げるアイテムです(7枚)

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