『仮面ライダー』ショッカーの正体は日本政府←ウソです なぜ誤情報が広まったのか
ネットやSNSが発達した現代、時には誤情報でも広がることで本当のようにとらえてしまうことがあります。そのなかでも『仮面ライダー』の敵組織「ショッカー」についてのウソを解明していきましょう。
歴代の秘密結社のなかでも抜群の知名度を誇る「ショッカー」

『仮面ライダー』の敵組織「ショッカー」は、数ある「秘密結社」のなかでも抜群の知名度を誇る組織です。その知名度ゆえに、とある誤情報がネットなどで拡散されていました。
ショッカーといえば世界征服をたくらむ秘密結社で、動植物の能力を持った「改造人間」を先兵として使う組織です。「仮面ライダー」もまたショッカーによって改造されましたが、脳改造前に脱出に成功しました。そのため、仮面ライダーは人類の自由と平和を守るためにショッカーと戦います。
こういった説明を語らなくても、「知っている」という人も多いことでしょう。その名前は仮面ライダーと対を成す存在といっても過言ではありません。この知名度の高さゆえ「仮面ライダー」シリーズに詳しくない人のなかには、いまだに仮面ライダーの敵を適当にいう際にショッカーと呼ぶ人もいます。
制作側である東映もショッカーの知名度を利用していました。平成になってからの作品のなかだけでも、「大ショッカー」(『仮面ライダーディケイド』)、「スーパーショッカー」(『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010』)、「スペースショッカー」(『仮面ライダー×スーパー戦隊×宇宙刑事 スーパーヒーロー大戦Z』)などの組織が登場しています。
これらは数々の悪の組織の集合体でした。それでもショッカーという名前を踏襲しているのは、やはり悪の組織といえばショッカーと考えたからなのでしょう。時には後続の組織「ゲルショッカー」や「デストロン」の怪人や幹部たちが、そのネームバリューゆえショッカー所属になっていたこともありました。
こうしたことからも、前述したように、ショッカーという名前は仮面ライダーに匹敵する存在だといえるでしょう。興味のない人でも、その名前は聞いたことがある……そう思えるほどメジャーな名称です。
しかし、このショッカーに関して誤解している人も少なくありません。特撮に詳しい人のなかでも、「ショッカーの正体は日本政府である」と言い出す人がいるのです。先に答えをいうと、これは間違いです。
それでは、どうしてこんな話が広まったのでしょうか。実は原作者である石ノ森章太郎先生の描いた『仮面ライダー』の「萬画版」に、その答えがあります。
萬画版『仮面ライダー』は「週刊ぼくらマガジン」(講談社)で連載を開始し、後に「週刊少年マガジン」(講談社)へ掲載誌を変更しました。その点では、純粋な子供向けだったTV特撮版とはおもむきが少々異なり、社会風刺を交えた一般にも訴求力のあるストーリーを展開しています。
その最終決戦が「一文字隼人」の変身した仮面ライダーと、「10月計画(オクトーバープロジェクト)」と呼ばれる作戦を遂行していた「ビッグマシン」との戦いでした。この戦いのなかでビッグマシンがいったセリフが誤解を生む元となったのです。