出番が減ってしまったバルタン星人の悲劇。原因は「有名になりすぎたから」?
ウルトラシリーズでもっとも有名な怪獣であるバルタン星人。一時期はウルトラマンに挑み続けるチャレンジ魂を見せていましたが、有名になりすぎたことでシリーズへの登場が減ってしまいます。
ウルトラマンのライバルとして長年活躍するが…

「バルタン星人」といえば、ウルトラマンと並び立つキャラクターとして、一般の人にもよく知られていると思います。みなさんも子供の時に、チョキにした両手を上下して「フォッフォッ…」と鳴き声をマネした経験がありませんか? それほどウルトラ怪獣のなかでも親しまれて有名な存在だと思います。
しかし、このバルタン星人の生みの親とも言われている飯島敏宏さんを知る人は、比較的熱心なファンくらいではないでしょうか?
飯島さんはバルタン星人が初登場した『ウルトラマン』(1966年)第2話「侵略者を撃て」、2代目として再登場した第16話「科特隊宇宙へ」だけでなく、後述する映画『ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』(2001年)や、『ウルトラマンマックス』(2005年)の第33話「ようこそ!地球へ 前編 バルタン星の科学」と第34話「ようこそ! 地球へ 後編 さらば!バルタン星人」でも、脚本と監督を兼任(脚本は千束北男名義)していました。
ちなみに、バルタン星人の名前の由来は、一般的には当時の人気歌手シルヴィ・ヴァルタンから取ったと言われていますが、これは宣伝部のコメントだそうで、名付け親の飯島さんとしては母星が悲劇的な最期を遂げたことから、ヨーロッパの火薬庫と呼ばれて紛争の多かったバルカン半島に重ねていたそうです。忘れがちですが、バルタン星人も本来は単なる侵略者ではなく流浪の民でした。
このバルタン星人、初代と2代目の造形が大きく違います。その理由は、初代は『ウルトラQ』に登場したセミ人間をベースにし、2代目はデザイン通りに造形したからでした。近年では初代も新規で作られたと言われていますが、いずれにしてもセミ人間を基本にしていることは明白です。
バルタン星人の人気の高さの理由のひとつに『ウルトラマン』で最多となる3回もの登場を挙げる人も少なくありません。そうはいっても、3度目の登場である第33話「禁じられた言葉」では、出ただけで終わっています。やはり本編での活躍と、シルエットだけでバルタン星人だとわかるデザインの魅力によるところも大きいのでしょう。
その後、バルタン星人のテレビでの出演といえば、『ウルトラファイト』(1970年)での活躍が挙げられます。この作品では宇宙人も怪獣という扱いでしたから、星人ではなく、ただのバルタンでした。最後に製作された第195話「激闘!三里の浜」では、両手が人間と同じ形状で角材を持って戦うレアな姿が見られます。このデザインは近年のガシャポンではシークレット扱いになっていました。
ほかにも、同じくウルトラ怪獣が多数出演した『レッドマン』(1972年)でもバルタン星人は登場しています。特筆するのは怪獣を惨殺することで有名なレッドマンから、唯一逃げられた怪獣だったことです。