マグミクス | manga * anime * game

風よ!光よ!で子供たちを熱狂させた『快傑ライオン丸』 陰に日本初のライバルキャラも

特撮と時代劇をミックスした異色作『快傑ライオン丸』。その人気は当時の大ヒット作品『仮面ライダー』に迫る勢いでした。そして本作を支えたのは、もうひとりのヒーロー「タイガージョー」だったのです。

当時の子供たちに人気だった「ライオン丸見参!」の構え

DVD「怪傑ライオン丸 カスタム・コンポジット・ボックス」ビジュアル (C)ピー・プロダクション
DVD「怪傑ライオン丸 カスタム・コンポジット・ボックス」ビジュアル (C)ピー・プロダクション

 本日4月1日は半世紀前の1972年にTV特撮ヒーロー番組『快傑ライオン丸』が放送開始した日です。つまり今年で放映50周年。当時の思い出とともに、振り返ってみましょう。

 本作は前番組『スペクトルマン』の好評を受けて企画されました。巨大ヒーローだった前作とは違い、最初から等身大ヒーローとして企画されていましたが、舞台設定が時代劇となったのは企画途中からだそうです。それには局側からの他作品との差別化をはかりたいという意図がありました。

 今の常識から考えると特撮と時代劇は異質の組み合わせに思えますが、もともと時代劇から子供向けドラマの名作はいくつも生まれていますし、特にフジテレビ系列では過去の大ヒット作品として『仮面の忍者 赤影』(1967年)があります。しかし、『快傑ライオン丸』は皮肉なことに同じく意外性を狙って特撮時代劇になった『変身忍者 嵐』(1972年)と、同時期のスタートになりました。

 あらすじを説明すると……

 物語の舞台は戦国時代。日本征服をしようとたくらむ大魔王ゴースンが活動を始めた。その最初の標的だった果心居士は、孤児だった3人の教え子たちにそれぞれ形見の品を託す。そのひとり獅子丸は師匠からもらった「金砂地の太刀」の力でライオン丸に変身、ゴースンの悪だくみを阻止するために旅を続ける。

 ……というものです。本作の主人公・獅子丸を演じた潮哲也さんは、これが初主演でした。危険なアクションも自らが演じており、足を骨折、その後は車いすや松葉杖を使っての撮影にも挑んだそうです。その熱気が画面からも伝わり、筆者をはじめとする当時の子供たちを熱狂させました。

 ライオン丸と言うと、あの白ライオンの顔と赤と黒の服で、ひじょうに見栄えのいい配色が目を引きます。このライオンのたてがみはかつらメーカーが一本一本植えたそうで、製作はウルトラシリーズでおなじみの高山良策さんでした。このインパクトのある姿は子供だけでなく、大人たちからも注目され、当時人気だったプロ野球選手ジョン・シピンがひげ面だったことから、そのあだ名が「ライオン丸」になったというエピソードがあります。

 このように話題性のあった作品で、仮面ライダーと同じく変身ポーズをおぼえる子供も続出し、当時の変身ヒーローブームのけん引に一役買っていました。時代劇という点もそうですが、剣で戦うというヒーローと言うことで仮面ライダーとの差別化できていたことが大きかったのでしょう。

 また、制作会社のピー・プロダクションお得意のビターなドラマ要素も、当時の東映特撮ヒーロー番組と一線を画していました。エピソードによってはやりきれない思いのまま物語が終わることが多く、ほとんどの事件が何事もなくハッピーエンドを迎える東映作品とは明確に異なります。特に劇中でたびたび流れる挿入歌「ライオン丸のバラード・ロック」が、雰囲気を一層重いものにしていました。

 時には、やられ役の怪人たちにも大きなスポットが当たる点も、他作品との違いをあらわしています。卑怯な手段を嫌う者、子供の目を治療しようと考える者、捨てられた子供を育てるものなど、1話限りのやられ役とは思えないドラマの掘り下げが本作の特徴のひとつでした。この丁寧なドラマ作りが、単なる勧善懲悪になりがちな他のヒーロー番組と大きく差別化できていた点かもしれません。

【画像】続編も人気!『怪傑ライオン丸』の勇姿を振り返る(6枚)

画像ギャラリー

1 2