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『仮面ライダー』死神博士役・天本英世氏の命日 徴兵され、終戦を迎えた凄絶な過去

徴兵から東大入学、そして俳優の道へ

著:天本英世『スペイン回想』―『スペイン巡礼』を補遺する(話の特集)
著:天本英世『スペイン回想』―『スペイン巡礼』を補遺する(話の特集)

 そんな天本氏は1925年12月20日、福岡県に生まれました。当時の習慣で年末に生まれた場合は出生届が翌年に回されるため、戸籍上の誕生日は1926年1月2日となっています。

 太平洋戦争が敗色濃厚となっていた1944年3月、鹿児島大学の前身である旧制第七高等学校造士館(以下、七高)に入学した天本氏は、翌1945年1月に陸軍の四式重爆撃機(飛龍)の製造工場に動員された後に徴兵され、劣等兵として扱われるという屈辱を味わいます。

 終戦後しばらくしてから復員し、1948年春に七高を卒業した天本氏は東大法学部政治学科に入学しますが、大学には通わず虚無的な生活を送るようになります。一時は自殺さえ考えた天本氏は、切羽詰まって人生を捨てようと思い、俳優を志します。天本氏はこの時の想いを「乞食になるのと同じように俳優になったんだ」とことあるごとに語っていたそうです。

 いくつかの端役を経て、1952年に映画『二十四の瞳』に主演・高峰秀子さんの夫役で出演を果たした天本氏は、苦労や失敗を重ねながらも少しずつキャリアを重ね、やがて名バイプレイヤーとして多数の作品に出演するようになっていきます。そうして1972年には『仮面ライダー』に死神博士として出演し、お茶の間の子供たちに強いインパクトを残したのです。

 また、天本氏はスペインに傾倒していることでも知られていました。『星雲仮面マシンマン』に出演していた際には毎年恒例のスペイン旅行と撮影スケジュールが重なり、一時降板したほどです。

 1979年には7か月にわたりスペインを旅して周り、のちに『スペイン巡礼』と『スペイン回想』の両著を書き起こしています。

「私は、スペインで死にたい」と著書に遺言を残していた天本氏ですが、残念ながら2003年3月23日、急性肺炎により福岡で亡くなりました。77歳でした。しかし死後、関係者の尽力により遺骨は遺言通り、愛したスペインのアンダルシア州・グアダルキビール川源流に散骨されました。生涯独身でした。

※参考文献:著:天本英世 日本人への遺書(メメント) (徳間書店)

(早川清一朗)

【画像】バラエティ番組でも人気だった天本英世氏 特撮出演作(5枚)

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