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ウルトラマンを倒した怪獣「ゼットン」 TVの前の子供たちを絶望の淵に叩き込む

絶対の恐怖と科学の力

『ウルトラ怪獣シリーズ 03 ゼットン』(BANDAI)
『ウルトラ怪獣シリーズ 03 ゼットン』(BANDAI)

 番組が終わりに近付き、遂に登場したゼットンは、本に書いてあった通りの圧倒的な強さを見せつけてくれました。科特隊本部に向かおうとするゼットンに対し、ウルトラマンは回転しながらキャッチリングを放ち、ゼットンを拘束しようと試みます。しかしゼットンがゆっくりと振り向いて火球を発射するとウルトラマンは赤い煙に包まれ倒れてしまい、拘束も引きちぎられてしまうのです。火球の温度はなんと一兆度。この温度にはさまざまな検証がなされており、ありえないとされていますが、なにせウルトラマンを倒した怪獣なのです。このくらいの説得力がなければいけないということでしょう。

 そこからのゼットンはテレポートでウルトラマンをかく乱し、八つ裂き光輪をバリヤーで跳ね返し、ウルトラマンにのしかかって首を絞め上げます。

 辛うじて体勢を立て直したウルトラマンが放った、起死回生のスペシウム光線すらゼットンは吸収してしまい、逆に跳ね返してウルトラマンのカラータイマーに直撃させるのです。

 動きが止まったウルトラマンに、ゼットンはとどめの一撃を放ちます。そうして棒立ちとなったウルトラマンの目から光が失われ、最強のヒーローは、最期を迎えるのです。このシーンは、脚本段階では起き上がろうとしたウルトラマンのカラータイマーを、ゼットンが潰し割ることになっていましたが、描写が残酷すぎるという理由で変更になっているそうです。

「ウルトラマンはゼットンに倒される」と知っていた筆者にとっても、それは衝撃的なシーンでした。リアルタイムで見ていた子供たちが受けたショックはどれほどのものだったことか。

 元プロレスラーの前田日明氏は、ウルトラマンが倒されたショックで少林寺拳法を習い始め、格闘家としての第一歩を踏み出しています。ゼットンの強さは、人の人生を変えるほどの大きな影響力を持っていたのです。

 その後、ゼットンはペンシル爆弾によって倒され地球の危機は救われますが、別の個体が多くの「ウルトラシリーズ」に強力怪獣の象徴として登場し、歴代のウルトラ戦士たちを苦しめてきました。これからもゼットンは、「ウルトラシリーズ」の歴史を紡ぎ続けるために、欠かせない存在で居続けるのでしょう。

(ライター 早川清一朗)

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