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不人気は言いがかり! 『仮面ライダーアマゾン』が半年で終了した理由はただの不運?

『仮面ライダーアマゾン』は、TV放送された同シリーズのなかで最短の24話で終了しました。わずか半年という短すぎる放送期間には、とある理由があります。

『仮面ライダーアマゾン』が原点回帰にして異色作だったワケ

「仮面ライダーアマゾン Blu-ray BOX」(東映ビデオ)
「仮面ライダーアマゾン Blu-ray BOX」(東映ビデオ)

 本日10月19日は、1974年に「仮面ライダー」シリーズ第4作となる『仮面ライダーアマゾン』がTV放映を開始した日です。本年2024年で半世紀の時が経ちました。それまでの「仮面ライダー」シリーズにはなかった要素が加えられた、異色作となった本作を振り返ってみましょう。

『アマゾン』は原点回帰をはかった作品でした。それは単に仮面ライダーの原点というだけでなく、ヒーローものの原点に立ち戻った作品という意味です。それゆえ怪奇色の強い作風となりました。

 しかし、それだけでなく当時の流行も考慮した設定となります。放送当時、カンフーブームの中心にいた「ドラゴン」の異名を持つブルース・リーのイメージを取り入れ、「ドラゴンライダー」という仮題だった時期もありました。

 このドラゴンから着想を得て、本作主人公の「仮面ライダーアマゾン」のモチーフは「マダラオオトカゲ」という架空の爬虫類となります。ちなみに初期案ではイモ虫をモチーフにしたものもあり、かつてないモチーフを模索していたのでしょう。

 それまでと違うといえば、やはり主人公の設定でしょうか。本作の主人公は南米アマゾンの密林で育った野生児「山本大介」でした。そのため言葉も話せず、周囲から「アマゾン」と呼ばれるようになります。これまでの普通の大学生が戦いに巻きまれるパターンとは大きく異なりました。

 余談ですが、アマゾンの独特の衣装は第4話くらいで普通のものになる予定だったそうです。ところが、あの衣装がスタッフ内で好評だったことで、秋から冬の寒い時期の撮影にもかかわらず第9話まで腰みのだけの姿となりました。

 これにはアマゾン役の岡崎徹さんも「ダマされた」と打ち上げで漏らしたそうです。この影響で岡崎さんいわく、全身の体毛が伸びるのが異様に早くなった……といわれていました。それだけでなく、この姿でのバイク撮影、高所での命綱なしのアクションなど、撮影は過酷だったようです。

 本作の特徴のひとつに、怪人にあたる存在の「獣人」がいました。それまでの人間ベースの怪人と異なり、獣人は動物をそのまま巨大化したような、怪獣的なデザインとなっています。実はそこには設定面以外の事情がありました。

 これは、シリーズを重ねたことで戦闘シーンがマンネリ化したことを恐れた、東映生田スタジオ所長の内田有作さんの発案だったそうです。わざと動きづらいモノを作って、意図的に殺陣を変える目的でした。これには殺陣師だった高橋一俊さんも応えて、新しい野性味あふれるアクションを生み出します。

 このように原点回帰を目指しながらも、それまでにない設定で構築された物語が本作の見どころでした。ちなみに、それまでの定番だったオープニング最後に入るナレーションがないのは、一度外してみようということだったそうです。結果的にあった方がいいということになり、次回作『仮面ライダーストロンガー』では復活しました。

 そして『アマゾン』第1話では、シリーズ初となる放送開始直後から物語が始まり、そのままオープニングにつながるというスタイルとなっています。こうして本作は意欲的なスタートを切ったのですが、実はスタッフにも知らされていなかった重大な運命が待っていました。

【画像】ライダーなのでバイクに乗るのだけど…ピラニアですか? その名は「ジャングラー」!(5枚)

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