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震災後、日本のために立ち上がったウルトラマンと仮面ライダー。2作品が見せた希望の光

東日本大震災の後、日本に住む人たちの沈んでいた心に光を取り戻そうとした2大ヒーローがいました。日本が誇る「ウルトラマン」と「仮面ライダー」です。震災後に発表された2本の映画は、「救いの手を伸ばし続ける」「絶対にあきらめない」と、強いメッセージを発していました。

人びとを救おうと、手を伸ばし続けた仮面ライダー

『劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL将軍と21のコアメダル』DVD(東映)
『劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL将軍と21のコアメダル』DVD(東映)

 東日本大震災から早くも10年の時が経ちました。震災発生当時は先の見えない不安から、心安らかな日々を送れなかった人も多かったと思います。そんな人たちの力になりたい。そう思ったヒーローたちがいました。日本の誇る2大ヒーローの「ウルトラマン」と「仮面ライダー」です。

 もちろんエンターティナーの話ですが、笑顔を失いかけていた我々の心に「希望」を与えようとした映画がありました。

※以下は映画のストーリーの核心に関する記述が含まれます。

 ひとつは『劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL将軍と21のコアメダル』です。2011年8月に上映された同作はトリビア的な番組でよく紹介されているので、タイトル名に聞き覚えがなくても、松平健さんが演じる『暴れん坊将軍』の徳川吉宗こと上様が出演しているといえば、思い出す人も多いことと思います。

 仮面ライダーオーズの乗るバイク・ライドベンダーと並走する吉宗の乗った白馬。劇場予告編でも使われていた「成敗!」の決め台詞。戦闘シーンではおなじみのBGMまで流れ、エンディングはヒット曲「マツケンサンバ」のオーズバージョンともいうべき「手をつなごう~マツケン×仮面ライダーサンバ~」という、話題に事欠かない作品でした。

 この「夢の共演」についてだけでも語ることが多いのですが、ストーリーを深読みすると、当時の日本が置かれた状況と重なるのでは? と思わせる部分がいくつかあります。筆者がもっともそう思った部分が以下でした。

 敵の手により、オーズに変身する映司とともに、大勢の人びとが江戸時代へタイムスリップしてしまいます。そして敵は映司に「自分だけ元の世界に戻れると引き換えに、他の人間は全て消滅する」という選択を迫りました。「せめて家族だけでも」と懇願する映司の願いを聞いて、元の世界へ戻す敵。しかし、すべての人が元の世界に帰ってきます。

「すべての人間は映司の“家族”」それが全員を救った理由でした。

 ここが本作品の肝だったと筆者は思っています。突然、見知らぬ世界で生活を送ることで不安だったところに、なくしたはずの日常が戻ってくる。劇場で見たとき、グッと心に響いたことを今でも覚えています。

 迫りくる困難を乗り越えるべく、みんなが手をつなぐ。TVで何度も映司が言っていた「手の届く範囲だけでも救いたい」という、『仮面ライダーオーズ』のテーマが結実した劇場版でした。キャッチコピーのひとつ「ヒーローが日本を元気にする!」からも、その気概が感じられます。

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