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ゴジラの「噛ませ犬」じゃない!  平和の怪獣「モスラ」が映画史に残した影響

渡辺謙、チャン・ツィイーらが出演し、ゴジラをはじめとする東宝怪獣が激突するハリウッド映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』では、怪獣たちの設定がオリジナルから変わったことに抵抗を感じるファンもいるかもしれません。そこで、今なお多くの人を魅了し続ける東宝特撮映画の人気怪獣とその魅力を振り返ります。

「ピースな怪獣」として愛されるモスラ

『モスラ』 [東宝DVD名作セレクション] (C)TOHO CO., LTD.
『モスラ』 [東宝DVD名作セレクション] (C)TOHO CO., LTD.

 ハリウッド超大作『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』が2019年5月30日から日米同時公開されました。怪獣王ゴジラに加え、モスラ、ラドン、キングギドラといった、日本生まれの怪獣たちが続々と登場するので、日本の怪獣ファンには見逃せません。
 
 しかも、今回の勝者は2020年公開予定の次回作で、『キングコング 髑髏島の巨神』(2017年)で髑髏島を制したキングコングと激突することでも話題を呼んでいます。

 タイトルを見れば分かるように、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は、ゴジラがメインキャラクターとなっています。では、モスラ、ラドン、キングギドラは、ゴジラの強さを際立たせるための「噛ませ犬」なのでしょうか?
 
 そこで、ハリウッドではどうも脇役感のあるモスラ、ラドン、キングギドラたちのデビュー作を振り返り、東宝特撮映画の魅力を再発見してみたいと思います。

 今回紹介するのは、優雅な造形から女性ファンも多いモスラです。初登場は、本多猪四郎監督の『モスラ』(1961年)。 『ゴジラ』(1954年)の公開から7年遅れてのスクリーンデビューとなりました。
 
 モスラの原型となったのは、沖縄の八重山諸島に生息する世界最大の蛾・ヨナグニサン(与那国蚕)です。南国生まれの希少生物ヨナグニサンと同様に、モスラもどこかおっとりした平和的なイメージを漂わせています。ちなみに本多監督の出身地である山形県鶴岡市は、かつて養蚕業の盛んな土地でもありました。

 映画『モスラ』の原作となったのは、幻想小説『発光妖精とモスラ』。戦後の人気作家である中村真一郎、福永武彦、堀田善衛の3人によるリレー連作という、ユニークな手法から生まれたものでした。中村と福永は詩人としても活躍、堀田は後に「ベ平連(ベトナムに平和を!市民連合)」の発起人になっています。1960年代に生まれたモスラのポエティックさ、平和を愛する怪獣という性質は、原作者たちの気質を強く受け継いだもののようです。

【画像】東宝公認、モスラが「地方創生」のイメージキャラに?

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