【シャーマンキング30周年への情熱(17)】担当編集者と語り合う、「マンキン」誕生前夜の話
「仏像が活躍する話」の発想に驚かされた

タシロ その経緯に「シャーマンキング」の前作『仏ゾーン』も外せないと思います。あれも当時話を聞いて驚きました(笑)。
「今度は仏像が活躍する話を考えた」
「千手観音の腕って『聖闘士星矢』の聖衣みたいじゃない? あれがアーマーなのよ」
「仏像ってたくさんいるから、いろんなバリエーション出せていいと思うんだ」
って言うんですよ。仏像をそういう目で見たことあります?(笑)
Y田 ないです(笑)確か第1話のタイトルは「仏像を見たらヒーローと思え!!」ですよね。
タシロ そうです! もっとも、どんな影響を及ぼしたかというと、武井君本人を前に言うのもなんですが、僕が思うに特定の何かではなく思想的なもの……ひとつはイタコをヒーローに、仏像もヒーローに……という発想の転換術というか彼のセンスの部分ではないかと思うんです。単にヒーローがたくさん出てくる要素なら、他にも昔から作品がありますしね。
Y田 独特のセンスが作品を経るごとに磨かれたということですね。
タシロ 『シャーマンキング』の時も「今度は世界中のシャーマンが出てくる話」と言われ、仏像すら内包してスケールアップしてる……って思いましたし(笑)。
Y田 確かにいろいろと符合しますね。しかも、さっきから向こうで仕事をしている武井先生が全然突っ込まないので、間違いではない……?
タシロ あまり正解にこだわっていないからスルーしているという可能性もありますが……。
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武井先生が『シャーマンキング』の連載に力を入れていく一方、タシロハヤトさんはゲーム業界で独自のキャリアを築いていきます。そんなふたりが再び一緒に取り組むこととなったのが、「シャーマンキング20周年」の企画でした。対談の<後編>では、そこに至る経緯や「20周年」企画の今、そして今後の展望について語り合ってもらいます。
<後編に続く>
(タシロハヤト)