【シャーマンキング30周年への情熱(34)】道蓮の心境の変化は、予め予定されていた…?
蓮の背中に描かれた「調和」への示唆

蓮が受けた教育は、全てを壊し奪い、最後に自分が立っている……という考え方です。成長し、それをおかしいと感じても、代わりのやり方は知りません。ですから結局は、道家がやろうとしているのと同じ「相手がやり返す気を無くするまで壊す、奪う」という方法をとってしまうのです。この時点での道家と蓮との違いは、最後に立っているのが道家なのか、それとも道家すらも破壊した蓮なのか、ということだけです。
ところが、麻倉葉と出会ったことで心境に変化が生まれました。風か水のように全てを受け流してしまう葉を相手にして、これまでのやり方が通用しないと実感したんですね。しかしどうしようもなかった彼は、徹底的に力をつけることで弱点をカバーしようと考えました。
が、今回の試合でそれが葉に通じないことを認めざるを得なくなり、信念に揺らぎが生じてしまいました。加えて、自分にはないものを持ち、蓮を受け止めると言った葉に対して、無意識に心を許したということもあるでしょう。これらの要因によって、データ的には完全に上回っていたはずの蓮が、事実上の敗北を喫したと言えるのです。
さて、この展開は、格別の強さを持つ孤高の戦士が、これまでと異なる価値観を得たことで(一時的に)弱くなるという、他作品にも見られる展開のひとつと言えますが、蓮の場合、これは始めから予定されていたものだったと考えることもできます。
彼の背中には、太極図と言って陰陽道などで目にする文様が描かれています。この図には「宇宙はふたつの相反する性質が両方存在し、調和することによって成り立っている」という意味があります。
そうなると、生い立ちのせいとはいえ、力を求めるあまりそれ以外を切り捨てトンガってしまっていた蓮が、この文様を背負っているのは作品の構造的に変ですよね?
つまり深読みすると、蓮はどこかでバランスの偏りによる問題に直面し、やがて調和した人間性を持つだろう……とか、蓮と葉は陰陽を構成する要素として調和するだろう……といったことが、予め示唆されていたと言えると思うのです。
さて、果たして蓮はそのようなキャラになり得るのか? 敗北を潔く認めるほど心境が変化した蓮がこれから先どうするのか? ここから先の蓮の成長にも注目して、楽しんでいきたいですね!
それでは今回はこの辺で。また次回よろしくお願いします!
(タシロハヤト)
(C)武井宏之・講談社/SHAMAN KING Project.・テレビ東京




